健康診断・消化器内科の「大腸内視鏡検査」で発見できる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「大腸内視鏡検査」で発見できる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
大腸がん
大腸がんは大腸の粘膜にできる悪性腫瘍で、食生活や遺伝、加齢が発症に関わります。初期は無症状のことも多いですが、進行すると血便や便通異常、体重減少がみられます。治療は内視鏡での切除や手術、抗がん剤などが行われます。血便や便潜血陽性があれば早めに消化器内科を受診しましょう。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸粘膜にできる良性の隆起性病変で、放置すると一部はがん化する可能性があります。多くは無症状ですが、大きくなると出血や便通異常を起こすこともあります。内視鏡で切除するのが標準治療であり、切除後も再発予防のため定期検査が必要です。便潜血陽性の際は消化器内科で相談しましょう。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が広がる病気で、自己免疫異常や環境要因が関与すると考えられています。下痢や血便、腹痛が長く続くのが特徴です。
治療は薬物療法が中心で、重症例では外科手術が必要になることもあります。長期間続く下痢や血便がある場合は消化器内科を受診しましょう。
クローン病
クローン病は口から肛門までの消化管に炎症が起こる慢性疾患で、特に小腸や大腸に多く発症します。原因は明確ではありませんが、免疫異常や遺伝が関与します。
症状は腹痛、下痢、体重減少などで、再発を繰り返すのが特徴です。内服薬や生物学的製剤で炎症を抑える治療が行われます。症状が続く場合は消化器内科を受診してください。
大腸憩室症
大腸憩室症は大腸の壁が外側に袋状に膨らんだ状態で、加齢や食物繊維不足が原因とされます。多くは無症状ですが、炎症を起こすと腹痛や発熱、下血を伴うことがあります。
軽症例では食事療法や抗菌薬で対応し、重症の場合は入院治療が必要です。繰り返す腹痛や血便があるときは消化器内科での精査が勧められます。
虚血性大腸炎
虚血性大腸炎は、大腸の血流が一時的に不足して炎症や潰瘍が起こる病気です。高齢者や動脈硬化のある方に多く、突然の腹痛と血便が特徴です。
多くは安静と点滴で改善しますが、重症例では手術が必要になることもあります。急な腹痛や血便を認めた場合は、速やかに消化器内科を受診してください。
大腸メラノーシス
大腸メラノーシスは、腸粘膜に黒色の色素沈着がみられる状態で、主にセンナなどの下剤を長期使用した場合に起こります。
良性で症状はありませんが、便秘薬の乱用が背景にあることもあるため注意が必要です。治療は下剤の中止で、多くは自然に改善します。便秘が続く場合は自己判断せず、消化器内科で適切な治療を受けましょう。
「大腸内視鏡検査にかかる時間」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大腸内視鏡検査にかかる時間」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
大腸内視鏡検査は前日と当日でどのくらい時間の確保が必要ですか?
木村 香菜 医師
前日は食事制限と早寝、当日は下剤服用から検査終了まで半日程度は見込みましょう。
大腸カメラの検査前は下剤を飲んでどのくらいでトイレに行きたくなりますか?
木村 香菜 医師
30分〜1時間程度で便意が現れるのが一般的です。
大腸内視鏡検査後、だるさがあった場合回復するのにどのくらいかかりますか?
木村 香菜 医師
検査後、特に鎮静剤を使ったあとは1時間ほど休憩すると意識がはっきりしてくると考えられます。しかし、当日の車の運転は禁止です。
大腸内視鏡検査当日は何時から2リットルの下剤を飲み始めますか?
木村 香菜 医師
検査開始時刻に合わせて、通常は検査の約4〜5時間前から下剤を飲み始めるよう指示されることが多いです。例えば午前中に検査を受ける場合は、早朝5〜6時頃に服用開始し、約2時間かけて飲み切ります。便が透明になってはじめて検査が可能になります。病院によって細かな指示が異なるため、必ず前日までに案内文を確認し、主治医や看護師の指導に従ってください。

