人を怖がらないクマ 異変はなぜ起きたのか…専門家に聞きました。

人を怖がらないクマ 異変はなぜ起きたのか…専門家に聞きました。

20年後を見据えた対策を

――クマの被害も深刻ですが、シカやイノシシ、サルなどの野生動物による農作物の被害もあります。人と野生動物の住む場所を分離していくのは、農作物の被害対策にも役立ちそうですね。
かつて集落に住んでいた方々がされていたような里山の管理はもはや望めません。そうなると、人とクマの住む場所を分離できるように公共事業として森林の管理をしていくのは一つの形だと思います。この対策はクマだけでなく、シカやイノシシ、サルなどの他の野生動物の対策にもつながります。野生動物の管理は環境省、森林の管理は林野庁、農作物の被害対策は農水省の所管です。また、野生動物は河川敷を伝って市街地に移動していくことが多いのですが、河川の管轄は国土交通省です。10年後、20年後の国土デザインの中に野生動物の問題を位置づけ、どのように獣害を防ぐか、政府が省庁の垣根を越えて総合的に対策を考えていただければと思います。

写真説明:クマの生態について解説してくれた小池伸介・東京農工大教授

<防災ニッポン編集部> 館林牧子

配信元: 防災ニッポン