「くたばれ」だけでも開示命令、ソフトバンク上沢投手中傷の投稿…東京地裁の判断解説

「くたばれ」だけでも開示命令、ソフトバンク上沢投手中傷の投稿…東京地裁の判断解説

●代理人「短い投稿でもネットリンチ加担と判断され得る」

今回の判決は、あくまで投稿者の情報開示を認めた段階であり、損害賠償が認められるかどうかは、上沢投手が今後訴訟を起こした場合に判断されることになる。

上沢投手の代理人をつとめた萱野唯弁護士(冨士川健弁護士と共同で担当)は、弁護士ドットコムニュースの取材に「個別の案件についてはお答えを差し控えさせていただきたい」としつつも、プロ野球選手会の顧問弁護士の立場から、誹謗中傷の構造に警鐘を鳴らす。

「他人の投稿の拡散や賛同するコメントを添える行為であっても、名誉毀損や名誉感情侵害が成立する余地はあります。特に、多数の人格否定的な表現がなされている状況において同様の投稿を重ねることは、執拗に“ネットリンチ”に加担したものと判断される場合もあり得ます」

プロ野球選手会では、弁護士による誹謗中傷対策チームが、発信者情報開示や民事・刑事手続を多数進めているという。

今回の判決は、いわゆる「炎上」のさなかに、一言だけの暴言コメントを添えるような行為であっても、社会的に許容されない侮辱として法的責任を問われうることを示唆するものともいえそうだ。

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