1件のクレームで自治体が「キャンセル」に動く理由 "自治体内弁護士"が語る役所の判断のリアル

1件のクレームで自治体が「キャンセル」に動く理由 "自治体内弁護士"が語る役所の判断のリアル

●SNS時代の「一人の声」が持つ影響力

──SNSの影響力が大きな時代になっています。

現代社会の「コンプライアンス」は、法令遵守にとどまらず、社会的要請に応えることも意味します。その観点からも、自治体は安易に「気を抜く」ことができない立場にあります。

SNS社会の進展により、1人の意見が爆発的に拡散し、予想以上の影響力を持つ時代になりました。「誰が何を言うかわからない」「ちょっとした問題だと思っていたものが一気に炎上する」。そうした不確実性を前提にリスクを想定する必要があります。

しかし現実には、業務の多忙さや余裕のなさから、十分な対応ができないケースも少なくありません。

自治体には、リスクを正しく認識し、適法性と妥当性の両面から、冷静な判断を積み重ねていく姿勢が求められています。

【取材協力弁護士】
吉永 公平(よしなが・こうへい)弁護士
名古屋大学法学部卒業、名古屋大学法科大学院修了後、2012年弁護士登録。法律事務所にて勤務した後、2014年愛知県春日井市入庁。2025年から大府市入庁。職員からの法律相談や職員研修、庁内報の発行、政策会議への出席等を主な業務としている。著作に『ズバッと解決! 保育者のリアルなお悩み200』(ぎょうせい)。他の自治体や劇場・病院での研修講師も務める。

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