多頭飼いをしていると、犬同士の意外な関係性や役割分担が見えてくることも。そこで、チワワ6頭と暮らす「いぬのきもち」読者の日常をのぞいてみました。犬の個性や絆が織りなす犬社会の奥深さを、動物行動学者の増田宏司先生が解説します。
「飼い主を中心に、6頭が 〝対等な仲間〞としての関係性を築いています」
■パワーバランスをめぐってケンカが勃発したことも……
「11年前、初めてわが家に迎えた犬がくーです。当時は日中に留守番をさせることも多く、遊び相手にと、くまを迎え、その後もしろくま、ショコラ、ハル、ロンとご縁が重なり気づいたら6頭のチワワに囲まれる暮らしに」と笑うOさん。
「以前は何かと年長犬のくーを優先していたものの、それが原因でショコラが対抗心を燃やし、大ゲンカに発展したことが。以来、年齢や立場に左右されない関係を保つため、誰かを優先することなく横一列を意識して、〝飼い主が群れの中心〞という姿勢を大切にしています。そんな6頭ですが、近所にある犬同伴OKな焼き肉屋さんに行けるとわかると、瞬時に一致団結。わき目もふらず歩きだす姿に仲間意識の強さを感じます(笑)」

【増田先生から】犬は仲間の変化にとても敏感です
とくに年齢を重ねて体力や動きがゆっくりになってくると、その変化を感じとった犬同士の関係性にも変化が生まれることがあります。パワーバランスの変化による不必要な争いを防ぐためにも、誰かを特別扱いせず、飼い主さんがみんな横並びで接することはとても大切。どの犬にとっても安心できる、落ち着いた〝群れ〞の関係を保つことにつながります。
K.O.さん家の〝守り番〞は、くーちゃん
「外で風の音がしても誰も気づかないなか、くーだけが反応して吠えることも。宅配便の気配にもすばやく反応して『知らない音がするよ!』とみんなに知らせてくれます」

