恐怖で抱っこもできなかった、生後推定6カ月の保護子犬 6年かけて飼い主と信頼を築いた姿に胸があたたかくなる

抱っこも、ゴハンを食べることにも恐怖心があった保護子犬。6年という時間をかけて少しずつ心を開き、飼い主さんとのあいだに信頼を築いたその姿に、胸があたたかくなります。

保護犬カフェで出会ったゆづちゃん
出会った当時のゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
出会った当時のゆづちゃん。

紹介するのは、X(旧Twitter)ユーザー@naminako_222さんの愛犬・ゆづちゃん(取材時、推定6才)。

飼い主さんとゆづちゃんの出会いは、保護犬カフェでした。当時のゆづちゃんは生後推定6カ月を過ぎたばかりの子犬で、大きな目で飼い主さんを見つめながら、眉間にしわを寄せて小さく震えていたといいます。

初対面のその姿が、飼い主さんの心に強く残りました。「なぜか忘れられなかったんです」と振り返る飼い主さんは、その後も仕事帰りに何度かゆづちゃんに会いに行ったそうです。

当時は実家暮らしだったそうですが、両親も2回ほど一緒にカフェを訪れ、話し合いを重ねた末にお迎えを決意。こうして、ゆづちゃんは家族の一員になりました。

お迎えしてからも恐怖心が強かった
飼い主さんの家に来て1週間くらいのころのゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
飼い主さんの家に来て1週間くらいのころのゆづちゃん。近づくと怖がるのでなかなか近くで撮影できず、遠隔から撮っていたそう。

家に来たばかりのころのゆづちゃんは、抱っこをすると恐怖で脱糞してしまうほど怯えていたそう。その姿は、飼い主さんも心配するほどだったといいます。

飼い主さん:
「人間が怖くてクレートから外に出られず、クレートの中でおしっこをしてしまったり、人間がそばにいると怖くてゴハンが食べられなかったり。

生きるために最低限できるようにならなければならないことができず、みるみる痩せていってしまいました」

遠くから見つめるゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
遠くから見つめるゆづちゃん。

その後、トイレは外に出せばできるようになりましたが、ゴハンを自分で食べられるようになるまでには約3年。少しずつ“安全だ”と感じる範囲を広げながら、ゆづちゃんは時間をかけて人と暮らす術を学んでいったようです。

飼い主さん:
「最初の3カ月は、ピアノと壁の隙間やクレートの中にこもっていました。でもある日、急に出てきてソファで寝そべったんです。びっくりしましたね」

ゆづちゃんのペースで暮らしに適応していく姿に安堵
推定3〜4才ごろのゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
推定3〜4才ごろのゆづちゃん。

それからもゆづちゃんは、暮らしの中で“どこまで安全なのか”を自分のペースで確かめながら判断している様子だったそう。

急に人のそばにくっついて寝て、しばらくしたら離れていったり。人がいないときに、リビング内の活動範囲を少しずつ広げていったり。そうした行動を繰り返すうちに、ゆづちゃんは段々と自然に暮らせるようになりました。

穏やかな表情のゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
推定5〜6才ごろのゆづちゃん。穏やかな表情が可愛い一枚。

今では自分でゴハンを食べたり、トイレに行きたいときにアピールしたり、「おやつがほしい」と訴えることもあります。留守中にはひとりで遊んでいた形跡も見られるのだとか。

飼い主さんになでてほしいと要求するゆづちゃん。
引用元:@naminako_222
飼い主さんになでてほしいと要求するゆづちゃん。

怖がりなところは成長した今も変わらないですが、「意思表示ができるようになったのは大きな進歩です」と飼い主さん。「それなりに“飼い犬としての暮らし”を楽しめるようになりました」と喜びを実感しているようです。

慎重派だけどやんちゃな一面も!
おもちゃを豪快に壊したあとのゆづちゃんの表情。
引用元:@naminako_222
おもちゃを豪快に壊したあとのゆづちゃんの表情。

怖がりな性格から一見おとなしく見えるゆづちゃんですが、実はけっこうやんちゃなタイプ。安心できる環境ではおもちゃを壊したり、綿を散らかしたりと、元気いっぱいに遊ぶのだそうです。

ゆづちゃんの豪快っぷりが伝わるこんなエピソードも。

飼い主さん:
「誤飲が怖くておもちゃを片づけたら、今度はベッドカバーを破かれてしまいました(笑) “無害そうな顔”をして、やることが豪快なんです」

“獲物”にロックオン中のゆづちゃんを見つめるスピカちゃん。
引用元:@naminako_222
“獲物”にロックオン中のゆづちゃんを見つめるスピカちゃん。

そんなゆづちゃんは、先住犬のスピカちゃん(取材時7才)のことが大好き。しかし、生後2カ月のころから家族の愛情を一心に受けて育ってきたスピカちゃんにとって、ゆづちゃんは突然現れた“ライバル”のような存在だったそうです。

おもちゃに夢中なゆづちゃんとあくびをしているスピカちゃん。
引用元:@naminako_222
おもちゃに夢中なゆづちゃんとあくびをしているスピカちゃん。

スピカちゃんから遊びに誘っていたのは、最初の1〜2年くらい。体の大きさが逆転してからは誘わなくなり、関係性も変わっていったといいます。

飼い主さん:
「人の関係性に例えるなら、小学生のときは幼なじみで仲が良かったけど、中高生になり趣味や属するグループが変わったことで、遊ばなくなった近所の友だちくらいの関係性に近いと思います」

家族になって6年 心を開いてくれたゆづちゃんに
先住犬・スピカちゃん(取材時7才)との笑顔のツーショット。
引用元:@naminako_222
先住犬・スピカちゃんとのツーショット。

抱っこもできず、ゴハンも食べられない時期を経て、今では飼い主さんには心を開き、甘えるようになったゆづちゃん。

一方で、飼い主さんの両親や妹さんにはまだ少し警戒が残っているそう。ゆづちゃんにとって、人を完全に信頼することは、今もゆっくり進行中の“大切なステップ”なのかもしれません。

これまでの日々を振り返り、飼い主さんはゆづちゃんへこんな思いを語ってくれました。

飼い主さん:
「ゆづは今もたくさん頑張ってくれてるので、ゆづなりのペースでできることを増やしてくれたらいいと思っています。

スピカとの関係性は、ゆづがあまりにも無視されすぎてかわいそうなときがあるので、もう少しだけ改善するといいなとは思います」

写真提供・取材協力/@naminako_222さん/X(旧Twitter)
取材・文/凛香
※この記事は投稿者さまに取材し、了承の上制作したものです。2025年11月時点の情報であり、現在と異なる場合があります。

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