夫が出張で不在だった、ある冬の深夜のことです。子どもたちはすでに寝静まり、私は録画していたドラマをリビングで一人で見ていました。時計を見ると、午前1時を過ぎていました。
見知らぬ“ピンポーン”に凍りつく
突然、「ピンポーン」という音が静まり返った部屋に響き渡りました。心臓がドクンと大きく跳ね、思わず息をのみました。
こんな時間に誰が来るのだろう——。恐る恐るモニターを確認しましたが、そこには誰の姿も映っていません。
「いたずらかな」と無視していると、数分後、再びインターホンが鳴りました。今度は長押しされるような、不気味に伸びた音。恐怖で体が硬直し、すぐに照明を消して子どもたちの部屋へ駆け込みました。
震える手で警察に通報
子どもたちの寝顔を確認しながら、スマホを手に取り、警察に連絡しようか迷っていました。
そのとき、三度目のインターホンが鳴り響きました。もう限界だと感じ、震える手で通報しました。警察が到着するまでの数分は、まるで永遠のように感じられました。
到着後の確認では、近所の酔っ払いが間違えて押した可能性が高いとのこと。事件性はなかったものの、あの無言のインターホンの音は今でも耳に焼きついています。

