録画されたドラレコに思いがけない声が入っていた
それから、1週間ほど経った頃。さやかさんはドラレコの容量がいっぱいになっていることに気づき、録画データを整理します。そのときに何気なく再生したのが、先日夫が娘を送迎した際の映像だったそう。外の景色と車内の音声が淡々と記録されているだけかと思いきや、そこには思わぬ会話が入っていました。
「最近、ママ怒ってばかりだね」
運転席の夫に向かって、ポツリと呟く後部座席の娘の声。
その言葉に、さやかさんは思わず息をのんだんだとか。しかし、次の瞬間に続いた夫の言葉に、さやかさんは胸が熱くなります。
「ママはね、パパが忙しいから、いっぱい頑張ってる」
「夫が娘を諭すような口調で、こう言ったんです。『ママは、パパが忙しいから、一人でいっぱい頑張ってるんだよ。だから、ちょっと疲れちゃっているのかもしれないね』って」さやかさんを責めず、娘にもわかる言葉で優しく話す夫の姿に、さやかさんは涙が止まらなくなったといいます。
「全身の力が抜けて、涙が止まらなくなりましたね。あの言葉は、直接私に言ってくれたわけじゃないけど、嬉しかった。ちゃんと見てくれてたんだなって……」
さやかさんは震える手で、夫が話すシーンを何度も繰り返し巻き戻したそうです。
「ここのところ、夫婦の会話が減っていたんです。だから、お互いの意思疎通がうまくいってなくて。私もつい、忙しいとか、夫がもっといてくれたらとか、言い訳ばかりになっていたんですよね」

