
■“まちと人がととのう”地域密着型サウナ

「御成桑拿」はJR・江ノ島電鉄の鎌倉駅から徒歩3分という駅近に位置する。外観こそ昔ながらの街並みに似合う和の趣だが、科学の視点で研究されたサウナ施設だという。シンプルな入口からはまだ何も想像ができないが、期待を高めて中へ。

受付で館内の説明を受ける。こちらの施設は水着着用で男女一緒に入るサウナ。水着は持参するかレンタルも可能。タオルは料金に含まれ、更衣室内に置かれているバスタオルとフェイスタオルを各1枚利用できる。異性と一緒に入るのに抵抗がある人はレディースデーを狙おう。



更衣室で水着に着替え、メイクなどはここで落としておく。サウナのフロアは2階になるのでタオルやサウナハットなどは持って階段を上がろう。階上にはサウナ、水風呂、湯船、休憩スペースがある。入口の印象以上にゆったりとした空間。少し暗めでシンプルな内装で初めて来たのに、なぜか落ち着く。


壁面にボックスタイプのロッカーがあるので、荷物はここへ。シャワーで汗や汚れを洗い流し、サウナマットを持ってさっそくサウナ室へ。サウナ室はドアが中央にあり、左右に広がるような大きな部屋で、サウナストーブが左右に1台ずつある。座面は2段あるが最初は様子を見るため、下段に座ってみる。

サウナストーブが複数設置されているサウナ室はほかにもないわけではない。サウナ室の大きさにもよるが、ストーブの数が増えればパワーアップするのでより熱さを生み出す。が、こちらのサウナ室はそれとはひと味、いや全然違う。
■サウナ室の真ん中に座ると不思議な感覚に包まれる

実は左右それぞれ違った熱を生み出しているというのだ。こちらのサウナを作ったのは総合演出家、戦略コンサルタント、医師の3名から結成された、アカデミックサウナレーベル「madsaunist(マッドサウニスト)」。サウナを科学ととらえ、専門知識や独自の知見を融合させ、蒸気と空気の流れを緻密に設計し、ほかでは体験できないサウナ空間になっている。

ざっくり言うと、通常のロウリュで発生する蒸気と同じ100度の水蒸気「飽和水蒸気」と、液体を含まず、100度よりも高い温度の水蒸気「過熱水蒸気」が混ざり合うことで、体の奥深くまで温まるスチーム設計になっているそうだ。また、独自の吸気システムで常に新鮮な空気を放出しているのも特徴。1つのサウナに2種の水蒸気が広がるという画期的なつくりになっている。
実際に入った感じでは熱さは感じるものの、痛いような熱さではなく、かといって低い温度のまろやかさとも違う。ちゃんと熱くて、それでいて息苦しさがない、空気が重すぎないので呼吸が楽という感じ。研究し尽された蒸気と空気の流れで、心地よく温まることができるので初心者にもおすすめだ。

ここでぜひやってみてほしいのがサウナ室のちょうど真ん中に座ること。空いていたら、真ん中をぜひとも陣取りたい。中央は左右の異なる“熱”が融合する地点。それを肌で感じることができる。真ん中に座って、右を向いて、左を向く。なんだ、これ、おもしろい!交互に向かい合うことで、それぞれの違いを少なからず感じられる。
■劇的に気持ちいい!“ヒューマンロウリュ”で目覚める

そして、こちらのサウナの最大の特徴が、サウナ室の真ん中にある謎の“かめ”。そう、これが噂の(?) “ヒューマンロウリュ”だ。ロウリュはサウナストーンに水(アロマ水)をかけて発生させる蒸気もしくはその行為のことだが、“ヒューマンロウリュ”は、サウナで温まった後に水を浴びること!そう、サウナ室内で熱くなった頭や体に水をかけるのだ。これがびっくりするぐらい気持ちいい!

今さらだが、サウナ室内では上にいけばいくほど温度が高い。座面で言えば、1段上がるごとに約10度違うともいわれている。ただ普通に座っても足に比べて頭はより高い温度に置かれていることになる。サウナ室内に何分か座っていれば、より熱さを感じるようになるが、そこで熱くなった頭や顔、体に水を浴びるのだから、気持ちよくないわけがない。

サウナ室内で水をかぶる、何なら水をぶちまける。こんな背徳感も気持ちよさにつながっているのかもしれない。サウナ室内でたまたま同席した人同士で水をかけ合ったりするコミュニケーションもあったりして、ちょっと不思議な一体感。なんか、楽しい!
“ヒューマンロウリュ”のすごいところは、水を浴びることで熱くなっていた頭や体がリセットされ、普段ならサウナ室を出ようかと思うタイミングから、もう少し入っていられるようになること。サウナは無理しないのが前提なので、熱いと思ったら出るのが鉄則だが、“ヒューマンロウリュ”をすると熱さが収まるので出ようと思わなくなる。
通常のサウナでは体を温めてはクールダウンを繰り返すわけだが、このサウナでは1回入った中で、“ヒューマンロウリュ”をすることで体の中まで温めていけるので、サウナ室の中も、水風呂も、外気浴も、感覚がちょっと違う。この感じは体験した人にしかわからないので、ぜひ“ヒューマンロウリュ”をトライしてほしい。
■水風呂と外気浴で心身ともに開放感を体感

水を浴びた後に、さらに温まってからサウナ室を出る。きちんと汗を流して水風呂へ。“ヒューマンロウリュ”直後に出てしまうと意味がないが、水風呂が苦手な人は、1回“ヒューマンロウリュ”をした後にしっかり温まってから水を浴び、そのまま外気浴という流れもいいかもしれない。あらためて水風呂に入るのは苦手でもサウナ室の熱さの中なら水浴びできると思う。



水風呂を出たら体を拭いて、屋上で外気浴。鎌倉の街を一望できる開放感のある屋上は、4つのチェアが置かれているが、ウッドデッキに座ったり、横になったりしてもOK。空とお近づきになれる。これからの季節、外は寒いという人は、サウナ室の前の休憩スペースでまったりするのもアリ。ここには水分補給用のウォーターサーバーもあるので、水分補給もしっかりしながら休憩できる。



“ヒューマンロウリュ”がクセになって、何度も入りたくなるサウナ。心地よくいられるので、うっかり水分補給がおろそかになるかもしれない。また、秋から冬にかけての寒いシーズンは夏場に比べると水分を欲しないので、意識的に水分を摂るようにしよう。サウナに入る前も、出た後も水分補給は必須。550円でポカリスエットとデトックスウォーターが飲み放題になるメニューもあり、個人的にはこちらをおすすめしたい。

利用時間にもよるが、“ヒューマンロウリュ”というほかにはないサウナの入り方で、時間が過ぎるのもあっという間。最後は水風呂のお隣にある温かい湯船に入って、ホッとひと息。人にもよると思うが、個人的にはサウナ後に温かいお風呂に入りたいので、湯船があるのはうれしい限り。


更衣室に戻ったら、水着を脱いでシャワーを浴びる。水着用の脱水機があるので持参した人もびしゃびしゃのまま持ち帰る必要がないのはかなり高ポイント。着替えて身支度を整えたらフロントへ。更衣室のドライヤーの数が限られているため、時間内に使えそうにない場合には、一旦、鍵をフロントに返却して更衣室に戻ってもOK。

フロントではサウナ後にぴったりなドリンクも提供。茅ヶ崎の「Passific brewing」のクラフトビールや鎌倉の鈴木屋酒店が厳選したナチュラルワイン、サウナジンソーダなどのアルコールメニューのほか、コーヒー牛乳やチャイソーダなどのソフトドリンクも楽しめる。

空きがあれば飛び込みでの利用もできるが、確実にサウナを楽しむなら事前予約がおすすめ。1人または友だち同士でレディースデーに楽しむもよし、カップルやグループで男女共用デーに楽しむもよし。 “ヒューマンロウリュ”は体験しないとその気持ちよさはわからない。サウナ室内で水を思い切り浴びる、そんなサウナの楽しみ方をぜひ一度体験してみよう。
取材・文=岡部礼子
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