味噌汁に含まれる発酵由来の成分や機能性物質は、免疫機能や炎症反応に影響を与える可能性が示唆されています。腸管免疫系への働きかけや抗炎症作用について、基礎研究と疫学研究の両面から知見が集積されつつあります。ここでは免疫機能のサポートと炎症反応の調整に関する現在の科学的理解について解説します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
免疫機能と炎症反応への効果
味噌汁に含まれる成分が免疫機能や炎症反応に影響を及ぼす可能性について、基礎研究と疫学研究の両面から知見が集積されています。腸管免疫への働きかけと抗炎症作用が注目されています。
腸管免疫への働きかけ
腸管は体内で大きな免疫器官であり、腸内環境の状態が全身の免疫機能に影響を与えます。味噌汁に含まれる発酵由来成分は、腸管免疫系を適切に刺激し、免疫バランスの維持に寄与する可能性があります。特に発酵によって生成されたペプチドや多糖類は、免疫細胞の活性化に関わることが示唆されています。
腸内細菌叢の多様性維持も免疫機能の重要な要素です。味噌に含まれるオリゴ糖や食物繊維は、有用な腸内細菌の増殖を促し、腸内環境を整えます。健全な腸内環境は病原体の侵入を防ぐバリア機能を高め、感染症に対する抵抗力を向上させます。
季節の変わり目や体調が崩れやすいときに、温かい味噌汁を規則的に摂取することは、体温の維持と栄養補給の両面から免疫機能のサポートにつながります。ただし免疫機能は食事だけでなく、睡眠や運動、ストレス管理など生活全般の影響を受けるため、総合的なアプローチが必要です。
抗炎症作用の可能性
慢性炎症は多くの生活習慣病の基盤となる病態です。味噌に含まれるイソフラボンやメラノイジンなどの抗酸化物質は、炎症性サイトカインの産生を抑制する可能性が基礎研究で示されています。これらの成分が体内の酸化ストレスと炎症反応を穏やかに調整することで、慢性疾患の予防に寄与する可能性があります。
オメガ3系脂肪酸を含む魚介類を具材にすることで、抗炎症作用がさらに高まる可能性があります。味噌のイソフラボンと魚油の相乗効果により、炎症性疾患のリスク低減が期待されます。ただしこれらの効果は長期的な食習慣の積み重ねによって現れるものであり、短期間での劇的な変化は期待できません。
まとめ
味噌汁は日本の伝統的な食文化の中で受け継がれてきた栄養価の高い食品であり、適切に摂取することで多様な健康効果が期待されます。発酵によって生成される機能性成分、バランスの良いアミノ酸組成、具材による栄養素の補完は、現代の栄養学の観点からも評価される要素です。一方で塩分濃度への配慮や特定の疾患を持つ方の制限事項を理解し、個々の健康状態に応じた適切な摂取方法を選択することが重要です。気になる症状がある場合や持病がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士に相談し、ご自身に適した食事パターンを確立してください。
参考文献
【厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【国立がん研究センター‐がん情報サービス 科学的根拠に基づくがん予防】
【国立循環器病研究センター‐循環器病情報サービス 食事と循環器病】【日本高血圧学会‐高血圧治療ガイドライン2019】

