オレンジ色の看板に誘われて、ふらっと入った小さな店。
その扉の向こうには、子どもたちの秘密基地みたいな空間が広がっていた。
駄菓子屋「三ノ瀬ショップ」は、三ノ瀬公園のすぐそば。
色とりどりのお菓子に囲まれて、おっちゃんとのやりとりを楽しむ子どもたちの声が響いている。
ここでは、ただお菓子を買うだけじゃない。
数十円のお小遣いと、挨拶と、ほんの少しの勇気で、ちゃんと社会とつながっている気がする。

公園の前にある、小さな入り口
三ノ瀬公園の南筋。
あちこち色褪せた街並みに、ぽつんと残るオレンジ色の看板。
そこに白い文字で「駄菓子屋」と書いてある。

駄菓子屋なんて、最後に入ったのはいつだっただろう。
そう思いながら、ランドセルを背負った子どもたちのあとをついて、小さな扉をくぐる。

店の名前は「三ノ瀬ショップ」。
聞けば、店主のお母さんが始めたお店で、今はその息子さんが一人で切り盛りしているのだそう。
最初は閉めるつもりだった。けれど、子どもたちからの「辞めないで!」の声に背中を押されて、店を続けることに決めたのだとか。
どこか、家の居間のような、懐かしい空気が流れている。
子ども目線のディスプレイ

壁一面を埋め尽くすお菓子のパッケージたち。
うまい棒に、ベビースター、クッピーラムネ。名前を見ただけで、舌の奥が甘酸っぱくなる。
「その棚の奥、見てみ」と店主に言われ、しゃがんでみる。
すると、パッケージを模したラミネートや小さなキャラクターが、目線の高さにずらり。

大人の背からじゃ見えない場所に、子どもたちだけの小さな世界が広がっている。
この店は、まるごと子どもたちの目線でできているのだ。
棚も陳列もDIY。手作りだからこそ、愛情が伝わってくる。
「楽しんでほしいんですわ」と、少し照れくさそうに笑う店主の横顔が印象的だった。
