お小遣いと会話のキャッチボール

この店に来る子たちは、誰もが小さな財布を手にしている。
100円、200円。親からもらったお小遣いで、何が買えるか一生懸命考える。
「おっちゃん、これ買ったらいくら残る?」
「あと40円やな」
「ほな、これと……あ、くじも引けるやん!」

そんなやりとりが、レジ前でひっきりなしに飛び交う。
値段の表示もわかりやすく、くじ引きの仕組みもシンプル。
店主は、ただお菓子を売るのではなく、「選ぶ」という体験を大切にしている。
選ぶこと、考えること。
それは、きっと大人になる準備のひとつだ。
くじ引きという名のドキドキ
>
レジ横には、色とりどりの当たりくじが貼られている。
どれも誰かが当てた小さな誇り。
くじ引きは、ペットボトルのドリンクを買ったらおまけでついてくる。
当たれば50円、100円分の金券。
当たらなくても、くじを開ける一瞬のワクワク感は、何にも代えがたい。
「俺、100円当てたことあるねん」
そんな会話をしながら、くじを引く手が少しだけ震える。
当たった子は、まるでヒーローみたいな顔で店を出ていく。
