見守るという仕事

店主は、朝の8時から夕方6時まで、年中無休で店に立つ。
見守っているだけじゃない。子どもたちに「挨拶」を教えるのも、大切な役割。
「入ってきたら、ちゃんと『こんにちは』って言わせますねん。最初は恥ずかしがってても、だんだん言えるようになるんです」
その言葉に、ただのお菓子屋ではないこの場所の“価値”が詰まっている気がした。

駄菓子は、ほんの数十円で買えるものかもしれない。
けれどこの店で子どもたちが手に入れているのは、金額にできないものばかりだ。
思い出を、もう一度手にとる
「こんなお店、まだ残ってたんやな」
そう言いながら、大人たちがふらりと入ってくることもあるらしい。
お菓子の棚を眺めながら、遠い記憶を探すように目を細めるその背中。
きっと、自分の中にある「駄菓子屋での時間」と重ね合わせているのだろう。
小さな頃に覚えた味、声、匂い。
それは記憶の奥で、今もまだ甘く響いている。

