低蛋白血症とは、血液中の蛋白質、特にその代表であるアルブミンなどが、何らかの原因によって少なくなってしまう病気です。
この病気の原因としては食事の栄養不足だけではなく、内臓疾患によって引き起こされることもある病気です。
蛋白質は身体の髪・皮膚・筋肉を作ったり、免疫機能を作る大事な栄養素であり、これが不足すると血管や骨がもろくなったり免疫力が低下します。
また保水機能のあるアルブミンが少なくなるので、身体のむくみや腹水が溜まるなどの症状が身体に現れます。
今回は低蛋白血症の予後と普段の生活において気を付けることを紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「低蛋白血症」を医師が解説!身体のむくみや倦怠感はありませんか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
低蛋白血症の予後と注意点

日常生活での注意点を教えてください。
低栄養からこの病気になった人は普段の食生活を見直すことが再発予防に繋がります。コレステロール値などを気にするあまり質素な食事になっていたり、きちんと食事を摂れていなかったりする人は生活習慣を見直す必要があります。一方ネフローゼ症候群にかかった人は、再発や予後に気を付けた方がいいでしょう。ネフローゼ症候群にはいくつかタイプがありますが、特発性ネフローゼ症候群は寛解に至った後80%は再発をおこし、さらにそのうちの半数が1年に4回以上再発するといわれています。また寛解後も糖尿病や感染症などの合併症・心血管病・血栓症・急性腎障害に注意を払う必要があります。
ネフローゼ症候群の予後はあまりよくないので、しっかりと医師と治療計画を経て、寛解後も定期的に通院することがおすすめです。
食生活ではどのような点に注意すればよいですか?
蛋白質不足でこの病気を発症した人については、普段の食生活から良質な蛋白質を摂ることを心がけましょう。特に食が細くなりがちな高齢者は、積極的に蛋白質を含む食材を摂ることが大事です。高齢者の方は一般的に魚や豆腐など魚介類・植物性の蛋白質を好みますが、実はこれらの食物から消化吸収される蛋白質は多くありません。魚介類は10~20%、大豆製品は10~30%の蛋白質は、食べても消化されずに体外へ排出されます。一方卵の蛋白質未消化率は3%、肉類は5~10%と比較的効率よく蛋白質を摂取できるので、これらを積極的に食べるとよいでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
低蛋白血症は食事のバランスが悪いと起こる病気です。蛋白質不足は特に高齢者にとっては深刻な事態で、免疫力が落ちたり血管や骨がもろくなったりすることから、寝たきり状態に繋がるなど日常生活のクオリティを著しく下げるおそれがあります。日頃から栄養バランスを考えた食事を摂るようにし、定期的に病院でアルブミン値を測定してもらうことがおすすめです。一方、肝臓・腎臓・膵臓の病気で血中の蛋白質が作られなかったり、大量に血液外へ排出されたりすることもこの病気の原因にもなります。低蛋白血症の症状があるネフローゼ症候群は、寛解後も予後や合併症に注意する必要がある病気です。
身体のむくみや倦怠感を覚えたら放っておかず、病院で検査を受けるようにしましょう。
編集部まとめ

低蛋白血症は、蛋白質不足が原因で生じる病気です。
一方、内臓の障害によって身体の中でうまく蛋白質が作られなかったり、血液中に運ばれなかったりすることもこの病気の原因となります。
栄養不足の場合は蛋白質を積極的に取り入れることが大切となりますが、一方でネフローゼ症候群など内臓機能が原因となっている場合は、蛋白質を制限するケースもあります。
まずはこの病気の原因をしっかりと診断・特定して、治療方針を決めることが大事ですので、もし気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
参考文献
アルブミン製剤|一般社団法人 日本血液製剤協会
エビデンスに基づくネフローゼ症候群2020

