日本初公開!レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』
展示風景
レオナルド・ダ・ヴィンチの『アトランティコ手稿』2点は、本展の開幕に合わせて来日しました。いずれも日本初公開となります。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)は、科学・芸術・技術のあらゆる分野を横断して知を追い求めたルネサンスの巨匠。軍事技術者や建築家として活動するかたわら、《モナ・リザ》や《最後の晩餐》をはじめとする名画を制作し、「万能の天才」と呼ばれています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』第156紙葉 表 《水を汲み上げ、ネジを切る装置》1480-1482年頃 アンブロジアーナ図書館(ミラノ)© Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
レオナルドは約40年にわたり、研究や発想を手稿にしたためました。中でも、今回来日した『アトランティコ手稿』は、現存する中で最も大規模な手稿。紙葉は1119枚にも及び、数学・機何学・天文学・動植物学・物理学・建築・土木・軍事技術など、多岐にわたる研究成果が記録されています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』第1112紙葉 表 《巻き上げ機と油圧ポンプ》1478年頃 アンブロジアーナ図書館(ミラノ)© Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
本展では、第156紙葉 表 《水を汲み上げ、ネジを切る装置》と第1112紙葉 表 《巻き上げ機と油圧ポンプ》の2点が展示。緻密に描かれた装置は今にも動き出しそうで、レオナルドの想像力や科学的な思考力をうかがい知ることができます。
また、アイデアを他人に盗まれないための工夫とされる、左右が反転した鏡文字にも注目しましょう。文字が右から左(←)へ書かれているのは、レオナルドが左利きだったためとされています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『アトランティコ手稿』第156紙葉 表 《水を汲み上げ、ネジを切る装置》(部分)1480-1482年頃 アンブロジアーナ図書館(ミラノ)© Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
同じく左利きの方は経験があるかもしれませんが、横書きの文字を左手で左から右(→)に描くと、インクを手で引きずってしまうのです…。レオナルドは正規の教育を受けておらず、右利きに矯正される機会がなかったとも考えられています。
科学と芸術を融合した万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。本展は、その功績を間近で鑑賞できる貴重な機会です。
世界で初めて油彩画に描かれた日本人、伊東マンショ
《伊東マンショの肖像画》の衣装の再現
本展では、伊東マンショに関する研究成果も。ティントレットが描いた《伊東マンショの肖像画》の衣装を再現する試みが紹介されています。
リネンやシルク、コットンなど天然素材へのこだわりに加え、当時の縫製技術を再現。すべて手縫いで仕立てられ、ひだ襟だけでも6000針以上の手間がかかっているそうです。
展示解説より
伊東マンショ(1569-1612)は、安士桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍したキリシタン(キリスト教徒)です。1582年、4人の「天正遣欧少年使節」の一員に選ばれてヨーロッパへと赴き、ローマをはじめとする各地で日本の文化や信仰を紹介し、東西文化交流の架け橋となりました。
なお、イタリア館ではティントレット《伊東マンショの肖像画》とともに、伊東マンショの足跡も紹介されました。
