意識を変えてきたブランドと、そうでないブランド
もちろん、そんな上から目線な接客をするアパレルブランドばかりではありません。顧客に寄り添う接客をし続けるブランドも多数あります。そうしたブランドは時代とともに消費者ニーズを敏感にキャッチし、販売戦略もブランドコンセプトの方針も、接客スタイルも少しずつ舵取りをしています。
その一方で、「うちのブランドは顧客に媚びない。ここの服を着るならば、もっと外見やおしゃれのスキルを上げてから敷居をまたぐべき」と言わんばかりに、強気な姿勢を見せるブランドも存在しているのも、また事実。顧客に寄り添うだけが正義・正解ではありませんが、あまり過度な強気接客は社会的ニーズにマッチせず、今回のような「逆カスハラ」と言われる問題につながってしまうのではないかと懸念しています。少なくとも、接客態度が悪いことと、ブランドとしての権威を表現することは、決してイコールにはなり得ません。
顧客のクレームをカスハラであると捉える前に、ブランド側がルッキズムに該当する接客をしていないか、最低限の接客マナーを逸していないかなどにおいての事実確認は、とくにアパレル企業は入念に行った上での対策が必要となりそうですね。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105

