薬剤師の働き場所の一つ「薬草園」とは?植物園との違いについても薬剤師が解説!

薬剤師の働き場所の一つ「薬草園」とは?植物園との違いについても薬剤師が解説!

薬剤師と聞くと、薬を調剤したり服薬指導をする姿が浮かぶかもしれません。けれど、薬の原点である「植物」と向き合い、育て、記録し、次世代へ伝える場所でも、薬剤師は活躍しています。それが「薬草園」というちょっと意外なフィールド。本記事では、薬草園とはどんな場所か、薬剤師がそこで何をしているのかを通して、“薬のはじまり”に関わる仕事の魅力を紹介します。

佐孝 尚

監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)

経歴
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。

保有免許・資格
薬剤師免許

薬剤師とは?

薬剤師は、薬の専門家として人々の健康を支える国家資格職です。医師の処方箋に基づいて正確に調剤し、患者さんに薬の正しい使い方を説明するほか、副作用や飲み合わせを確認して安全な治療を支援します。病院や薬局だけでなく、製薬企業や行政、教育機関など幅広い分野で活躍し、地域の健康づくりや医療の質向上に貢献しています。

薬草園とはどんな場所?

薬用植物を学び、伝える場所

薬草園とは、薬のもとになる植物(薬用植物)を栽培・展示し、研究や教育に活用する施設のことです。漢方薬の原料になる生薬はもちろん、近代薬の原型となった植物、民間療法で使われてきた薬草など、数百〜数千種類の植物が育てられています。園内には、地域の気候や環境に合わせて分類された区画があり、それぞれの植物に名前・効能・使い方・注意点などの表示が添えられています。見学者は自由に散策しながら、薬用植物の形・香り・生態を実際に感じることができ、“薬になる前の姿”を学べる貴重な空間です。ただの植物園とは違い、薬草園は「薬としての視点」が根底にあるのが特徴です。季節ごとに開花時期や有効成分の含有量が変化するため、育成や管理にも専門的な知識が求められます。

なぜ薬学部に薬草園があるのか

実は、薬学部のある大学には、薬草園の設置が義務付けられているケースもあります。それはなぜか?薬剤師が「薬の形や名前」だけでなく、「成分がどこから来て、どう加工されているか」を理解することが、本当の意味での医療の安全と倫理につながるからです。たとえば、葛根湯に使われる“カッコン”はクズの根、芍薬甘草湯にはボタン科のシャクヤクの根──名前だけではピンとこなくても、実物を見て育てることで、薬のルーツや背景、栽培の難しさ、自然との関係性を実感できます。また、薬草園では薬用植物だけでなく、有毒植物や絶滅危惧種も管理されており、植物を正しく見分け、間違った使い方をしないための実地教育としても活用されています。

配信元: Medical DOC

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