「滲出性中耳炎」になりやすい人の特徴をご存じですか? 予防法を併せて医師が解説

「滲出性中耳炎」になりやすい人の特徴をご存じですか? 予防法を併せて医師が解説

滲出性中耳炎の治療

滲出性中耳炎の治療方法は、症状の重さや原因によって異なります。

保存的治療

保存的治療は、滲出性中耳炎の初期段階や軽度の症例に対して行われます。自然に治ることが期待できるため、特に発症から3カ月以内の小児には以下の治療法で経過観察を行います。

鼻の治療
鼻炎(鼻の粘膜の炎症)や副鼻腔炎(鼻の奥にある空洞の炎症)が原因となっている場合、これらの治療を行います。鼻スプレーやネブライザー(蒸気療法)を使用して鼻の通りを良くし、耳管の機能を改善します。 粘液溶解薬の使用
ムコダインなどの粘液溶解薬を使用して中耳にたまった液体を減らします。これにより、耳の詰まり感や聞こえにくさが改善されます。 通気処置
バルーンを使って耳管を開く治療法(オトヴェント)を行います。耳管の通気を改善することで滲出液の排出を促進します。 ステロイド療法
アレルギーが関与している場合には、ステロイドの点鼻薬や抗アレルギー薬を使用します。これにより、鼻やのどの炎症が軽減され、耳管の機能が改善されます。

発症から3カ月以上経過した場合や自然治癒が期待できない場合、原因と考えられる疾患に対してさらに治療を行います。

鼻副鼻腔炎の治療
滲出性中耳炎の半数以上に副鼻腔炎が合併しています。鼻ネブライザーや鼻の処置、マクロライド系抗生剤の少量長期投与が有効です。 アレルギーの治療
アレルギー性鼻炎やアトピーがある場合、ステロイドの点鼻薬や抗アレルギー薬を使用します。

手術

保存的治療が効果を示さない場合や症状が重い場合には手術が検討されます。手術には以下の方法があります。

鼓膜切開術
中耳にたまった滲出液を排出し、中耳の換気を行います。鼓膜は数日で自然に閉じますが、耳管の機能が改善していないと再発することがあります。 鼓膜チューブ留置術
鼓膜切開を行っても滲出液の貯留が繰り返される場合、鼓膜にチューブを留置します。このチューブは、長期間にわたって中耳の換気を維持し、滲出液の排出を促進します。手術は一般的に外来で行われますが、小さな子どもには全身麻酔が必要な場合があります。 アデノイド切除術
アデノイド肥大(鼻の奥にあるリンパ組織の腫れ)が原因の場合、アデノイドを切除します。これにより、耳管の通りが良くなり、滲出液の排出が促進されます。

滲出性中耳炎になりやすい人・予防の方法

滲出性中耳炎は、以下のような人に多く見られます。

子ども
耳管がまだ発達しきっていないため液体がたまりやすいです。 アレルギー体質の人
鼻やのどの炎症が起こりやすく、耳管の機能に影響を与えやすいです。 喫煙者
タバコの煙が鼻やのどを刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。

予防方法

風邪やアレルギーの予防
手洗いやうがいを徹底し、風邪やアレルギーを予防します。特にアレルギー体質の人は、アレルギーの治療をしっかり行うことが重要です。 禁煙・受動喫煙の回避
タバコの煙が鼻やのどを刺激することを防ぐため、喫煙環境を避けます。 適切な鼻のケア
鼻の通りを良くするために、鼻をかむ習慣をつけたり、鼻の治療を行ったりします。特に鼻が詰まりやすい人は、鼻スプレーや蒸気を使った治療が効果的です。


関連する病気

急性中耳炎

反復性中耳炎

副鼻腔炎

アデノイド肥大

気管支喘息アトピー性皮膚炎口蓋裂

ダウン症候群

鼻咽頭腫瘍

参考文献

日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会 編:小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年度版 金原出版、2022年.

配信元: Medical DOC

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