●刑事施設職員による性加害「どれだけ恐ろしいことか」
会見した代理人の髙遠あゆ子弁護士は「本人は、圧倒的な力関係があるので職員から指示されたことには抗えない恐怖だと話をしていた」と振り返った。
海渡雄一弁護士も「今後の再発防止や、事件が起きた時の調査・捜査のあり方についてまでも意義のある和解ができた。和解の内容は、研修の中身にまで踏み込んでいる。東京拘置所だけではなく、すべての刑事施設で実施するように運用してほしい。法務省も前向きに変わってきていると感じられた」と話した。
原告の男性によるコメントも読み上げられた。
「刑事施設やこういった性被害は、みなさんには関係のない世界の話かもしれません。私自身も、刑事施設に入ることはあってもまさか性被害者になるとは思ってもみなかったことです。
刑に服し『今度こそは』と、まっとうな道を探している日々の中、私たち被収容者からしたら、指導側の人間で身近に1人でもこういう性犯罪をするような人がいれば、すべての職員にそういう面があるのではないかという非常な恐怖を感じることとなります。
それがどれだけ恐ろしいことなのか、犯罪者の私がわかって理解してほしいというのはおこがましいかもしれません。一方で、今回の件を通じて、そうではない刑務官も何人か知ることができました。それは確かな希望です。
出所後、私はどうありたいか、人として間違いをしてしまったとき、相手が誰でも頭を下げること、それは自分自身だけではなく刑事施設をはじめとした周囲に求めたい。
今回の訴訟を通して、そういう大切なことを代理人を含め、多くの支援者の方々から学べました。拘禁刑が始まり、そういうことを学んでいくことが大切な時代なのかもしれません」
●性加害刑務官は有罪判決を受けて辞職
過去の報道や代理人によると、加害者の刑務官は特別公務員暴行陵虐の罪で起訴され、2022年11月に懲役1年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。また、懲戒処分を経て辞職したという。

