すぐに病院へ行くべき急な腹痛と下痢に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
急な腹痛と下痢でで激しい腹痛の症状の場合は、消化器科へ
急な腹痛や下痢であっても、特に注意が必要な危険なサインがあります。以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
これまでに経験したことのないような激しい腹痛、強い吐き気、冷や汗が出る、意識が遠のく感じがするなどの症状がある際は、腸閉塞や腹膜炎、消化管に穴が開く消化管穿孔など、緊急手術が必要な病気の可能性があります。救急車の要請もためらわず、すぐに救急科を受診してください。また、便に血が混じる(真っ赤な血、黒くてドロドロした便)、粘液状の血が混じるなどの症状は、虚血性大腸炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、あるいは大腸がんといった病気の可能性が考えられます。医療機関は消化器内科を受診しましょう。特に、高熱(38.5℃以上)を伴う、嘔吐が止まらず水分が全く摂れないなどの症状では、重度の感染性胃腸炎や食中毒により、脱水症状が急速に進行する危険がありますので、躊躇せずに受診をするようにしましょう。内科または消化器内科を受診してください。症状が非常に強い場合は、夜間や休日でも救急外来の受診を検討しましょう。
病院受診の目安となる「急な腹痛と下痢」のセルフチェック法
ご自身の症状で病院に行くべきかどうかの判断に迷ったときは、以下の項目をチェックしてみてください。一つでも当てはまる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
・血便や高熱、激しい嘔吐など、下痢・腹痛以外の強い症状を伴う場合
・水分を摂ることができず、尿が出ない、唇がカサカサに乾いているなど、脱水が疑われる症状がある場合
・市販薬を飲んでも症状が改善しない、数日間症状が続いている、または一度良くなっても短期間で繰り返す場合
これらの症状は医療機関に入院の可能性がありますので、入院の準備の上、受診されると手続きがスムーズです。
急な腹痛と下痢の症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「急な腹痛と下痢」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
感染性胃腸炎
感染性腸炎はウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)や細菌(カンピロバクター、サルモネラ菌など)が胃腸に感染して炎症を起こす病気です。主な症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などです。治療法・対処法は、特定の治療薬がないことが多く、症状を和らげる対症療法が中心となります。最も重要なのは、脱水を防ぐための水分補給です。整腸剤や吐き気止め、解熱剤などが処方されることもあります。病院へ行くべき目安として、水分が摂れない、ぐったりしている、高熱が続く、血便が出るなどの場合は受診が必要です。診療科は内科、消化器内科、小児科の受診を検討しましょう。
食中毒
有害・有毒な微生物や化学物質等毒素を含む飲食物を人が口から摂取した結果として起こる下痢や嘔吐や発熱などの疾病(中毒)の総称です。
病気の内容、発症の原因は細菌やウイルス、毒素などに汚染された食物を摂取することで発症します。原因となる菌によって潜伏期間や症状は異なりますが、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが主な症状です。対処法・治療法は、原因菌を特定し、必要に応じて抗菌薬(抗生物質)を使用します。しかし、基本的には感染性胃腸炎と同様に、水分補給と対症療法が治療の中心となります。症状が激しい場合や、血便、呼吸困難、手足のしびれなどの症状がある場合は、すぐに受診が必要です。同じものを食べた複数人に症状が出た場合も食中毒の可能性が高まります。診療科は内科、消化器内科を受診しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸炎は検査をしても腸に炎症などの異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などの便通異常が続く病気です。ストレスや不安、生活習慣の乱れなどが深く関わっていると考えられています。対処法や治療はまず、食生活の改善や適度な運動、十分な睡眠といった生活習慣の見直しが基本です。それでも改善しない場合は、症状に合わせて腸の動きを整える薬や、不安を和らげる薬などが用いられます。市販薬で改善しない便通異常が続く、日常生活に支障が出ているといった場合は消化器内科で相談しましょう。
虚血性大腸炎
虚血性腸炎は大腸への血液の流れが一時的に悪くなることで、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。突然の強い腹痛から始まり、その後下痢、そして血便が現れるのが特徴的です。高齢者や、便秘や動脈硬化のリスクがある方に比較的多く見られます。対処法や治療法は安静と消化にいいものを摂取して、腸と体を休めることが基本です。状態が悪い場合は、入院して絶食とし、点滴で水分や栄養を補給することで改善します。病院へ行くべき目安として、突然の激しい腹痛と血便があった場合は、すぐに消化器内科を受診してください。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に原因不明の炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。主な症状は、持続する下痢、粘液と血液が混じった便(粘血便)、腹痛などです。症状が落ち着いている時期(寛解期)と、悪化する時期(再燃期)を繰り返す特徴があります。国の指定難病の一つです。腸の異常な炎症を抑えるための薬物療法が治療の中心となります。5-ASA製剤やステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などが用いられます。血便や粘血便が続く、下痢がなかなか治らないといった場合は、一度消化器内科の診察を受けることが重要です。
クローン病
クローン病は腸のあらゆる場所に、原因不明の炎症や潰瘍が起こりうる病気です。主な症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱などで、若年層に発症することが多いとされています。この病気も国の指定難病です。治療の基本は、腸管の安静と栄養状態の改善、そして炎症を抑える薬物療法です。栄養療法(経腸栄養・完全中心静脈栄養)や、5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などが用いられます。長引く腹痛や下痢、原因不明の体重減少などがある場合は、消化器内科への相談をお勧めします。

