●起訴された後は?
起訴された後も、基本的にはいったん決めた罪を認める方針を貫くのが原則です。 つまり先に書いたとおり、実刑を回避して罰金刑か、再度の執行猶予を目指すという方針になります。
また、罪を認めているということで、否認している場合と比べると保釈が通りやすいといえます。
●保釈後に「否認に転じる」選択肢
あまり一般的とはいえませんが、保釈が認められた後、否認に転じるという選択肢も一応考えられます。
否認に転じる一番の目的は当然無罪主張ですが、無罪とならなかった場合にも、いわゆる「弁当切り」がやりやすいというメリットはあります。
「弁当」というのは「執行猶予」の隠語で、たとえば「弁当持ち」という言葉は執行猶予中であることをさします。
「弁当切り」というのは、執行猶予期間が切れることをさしますが、以下のように執行猶予期間が切れることを目指すことが考えられます。
原則として、執行猶予中の人が別の事件で起訴された後、実刑判決が下された場合、執行猶予中の事件についても執行猶予が取り消され、二つの事件で言い渡された刑期の合計分、刑務所に入らなければならなくなります。
しかし、執行猶予中の事件について、執行猶予期間が満了してから、次の事件の実刑判決が確定した場合には、執行猶予期間は既に満了しているので、執行猶予が取り消されることはなくなります。
そこで、今回の事件についての裁判を長引かせて、執行猶予期間を満了させることを目指すわけです。
立花氏は2023年3月に、懲役2年6カ月、執行猶予4年の判決が確定しているとのことです。そこで、裁判が控訴、上告と進み、2027年4月以降まで判決が確定しなかった場合には、前の執行猶予は取り消されないことになります。
(※なお、刑法の改正により「弁当切り」は基本的にできなくなりましたが、本件は改正前に執行猶予の言い渡しがされたものであるため、改正条文が適用されません。「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)」448条1項参照)
否認して徹底的に争った方が、数多くの主張・立証が行われることとなるでしょう。無罪判決獲得という意味ではもちろんですが、執行猶予期間が満了する可能性があるという意味でも、このような方法も考えられなくはありません。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

