海外で高まる極端な美意識への反発
この「極端な美意識」への反発は、世界的なトレンドです。アメリカでは Nikeなどがプラスサイズや多様な体型のマネキンを導入しています。当初は健康上の懸念などから賛否両論がありましたが、議論を経て多様性への尊重と市場の現実を反映するものとして定着しました。
また、 日本と同様に細いマネキンが主流だった韓国では、過去に市民団体が抗議デモを行い、より健康的な体型への変更を求める運動が起こっています。極端に細いマネキンは、不健康なルッキズム(外見至上主義)を助長し、体型への劣等感を煽る一因となりかねません。この警鐘は、日本も真摯に受け止める必要があるのかもしれません。
骨格診断がバズるのに…マネキンにはなぜ適用しない?
これまで、マネキンの役割は「着用イメージ」を伝えることでした。しかし、現代はSNSによって状況が激変しています。現在、多くの消費者は、SNSで「骨格別着用イメージ」や「パーソナルカラーに合う着こなし」など、高度にパーソナル化された情報を得て服を選んでいます。
その情報と、画一的で極端に細いマネキンが提示するイメージが大きく乖離していると、「私が着たらどうなるか想像できない……」と感じ、「自分ごと化」を難しくしてしまいます。マネキンは、もはや「服を美しく見せる」という役割だけでは、購買意欲に結びつけられなくなっているのです。

