「野球肘」のサインをご存じですか? 親や指導者が知るべきポイントとは

「野球肘」のサインをご存じですか? 親や指導者が知るべきポイントとは

野球肘の治療

野球肘の治療では第一に安静を考えます。安静にするだけでなく、消炎鎮痛剤や湿布、肘を中心とした上肢全体のマッサージ•ストレッチで痛みの緩和も図ります。

痛みが落ち着いてきた段階で徐々に肘や手関節の筋力トレーニングを導入し、負荷量を上げていきます。投球練習ではいきなり全力投球はせず、キャッチボールやシャドーピッチングで投球フォームの改善を図らないといけません。上肢の使い方はもちろん、軸足からの体重移動などを意識することで腕にかかる負担の軽減を図ります。

野球肘の治療は多くが手術をしない保存療法で改善しますが、保存療法で痛みが引かない場合は手術も検討します。適応となる手術は、骨棘や骨片などを取り除くクリーニング手術や、損傷した腱や靭帯を再建するトミー・ジョン術などです。特にトミー•ジョン術はアマチュアからプロ選手まで幅広い野球選手が受けている術式です。

野球肘になりやすい人・予防の方法

野球肘は股関節や体幹の柔軟性が悪い人に発症しやすい傾向があります。精度の高い投球をするためには股関節によるスムーズな重心移動と、上方向への体幹の伸び上がりが必要ですが、股関節や体幹が硬いとこれらの要素が不足します。その不足を補うために肘の力に頼って球を投げることにより、野球肘のリスクが高まります。その他には1試合での投球数が多かったり、登板間隔(投手が次の試合まで出場するまでの期間)が短かったり、球速が速いことも野球肘になりやすい原因です。

予防方法は、全身のストレッチやケアをしっかりすることが大切です。肘に負担がかからない体作りやダメージの蓄積を軽減することで、野球肘の発症を抑えられます。

投球数や登板間隔、投球フォームの改善も野球肘の予防には重要です。少しでも痛みや違和感がある場合にはチーム関係者に速やかに報告し、野球肘の原因となる要素を取り除けるようにしましょう。


関連する病気

内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたい損傷)

内側上果の骨端線離開

離断性骨軟骨炎(だんりせいこつなんこつえん)

橈骨頭障害

肘頭疲労骨折


参考文献

井樋栄二, 津村弘 et al 標準整形外科学第15版 医学書院 2023

三田地亮 et al 疼痛,身体所見,および投球動作の関係性 日本肘関節学会雑誌 2020 27(2) 282~287

山崎哲也 トップレベルアスリートの野球肘 日本臨床スポーツ医学会誌 2018 Vol. 26 No. 3 300~303

堀内俊樹 et al 野球肘検診の調査結果と今後の展望 理学療法科学 2018 33(6) 969–973

酒折文武 et al 野球のトラッキングデータに基づいた肘内側側副靭帯損傷の要因解析 統計数理 2017 第65巻 第2号

配信元: Medical DOC

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