腹膜透析は自宅で行う治療法であり、正しい手技の習得が安全な実施の前提となります。導入時には医療スタッフによる丁寧なトレーニングが行われ、自立して管理できるまでサポートされます。ここでは持続携行式と自動式という2つの腹膜透析の方法について、それぞれの手順と特徴を詳しく解説します。自分に合った方法を選ぶことが大切です。

監修医師:
浅川 貴介(医師)
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
腹膜透析の具体的な実施方法
腹膜透析は自宅で行う治療法であり、正しい手技の習得と日常的な自己管理が必要です。導入時には十分なトレーニングが行われ、安全に実施できるようサポートされます。手技の習得には個人差がありますが、多くの方が数週間のトレーニングで自立して実施できるようになります。
持続携行式腹膜透析(CAPD)の手順
CAPDは、1日に4から5回、透析液の交換を行う方法です。交換は通常、朝・昼・夕方・就寝前に実施します。まず、手洗いを徹底し、清潔な環境で作業を行います。カテーテルと透析液バッグを無菌的に接続し、腹腔内の使用済み透析液を排液します。次に新しい透析液を注入し、4から6時間程度貯留させます。この間、透析液は腹腔内にとどまり、腹膜を介して老廃物や余分な水分を吸収します。
交換作業には1回あたり30から40分程度を要します。慣れれば短時間で実施できるようになりますが、常に清潔操作を意識することが重要です。交換場所は、ホコリが少なく、清潔に保たれた空間を選びます。ペットがいる家庭では、交換中はペットを別の部屋に移すなどの配慮が必要です。清潔な環境を維持することが、感染症予防の第一歩となります。
自動腹膜透析(APD)の仕組みと利点
APDは、夜間に自動的に透析液の交換を行う方法です。就寝前に専用の機械(サイクラー)にカテーテルを接続し、プログラムに従って自動的に排液と注液が繰り返されます。朝、機械から離脱すれば日中は透析液を貯留したまま自由に活動できます。夜間に治療が行われるため、日中の活動が制限されにくいという特徴があります。
APDの利点は、日中の交換作業が不要なため、仕事や学業との両立がしやすいことです。また、交換回数が多く、より安定した透析効率が得られます。一方で、機械の設置スペースが必要であり、停電時の対応など、機器管理の知識も求められます。どちらの方法を選択するかは、ライフスタイルや身体状態、住環境などを考慮して決定されます。医師や看護師と相談しながら、自分に適した方法を選ぶことが大切です。
まとめ
透析治療は、適切な知識と自己管理により、多くの方が長期的に継続し、充実した日常生活を送っています。血液透析と腹膜透析にはそれぞれの特徴があり、ライフスタイルや身体状態に応じて選択できます。食事療法や水分管理、感染予防などの日常的なケアが、治療効果を高め、合併症を防ぐ鍵となります。体調変化を早期に察知し、医療スタッフと密に連携することで、より安全で快適な透析生活が実現します。疑問や不安がある場合は、遠慮なく専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。
参考文献
東京女子医科大学病院「血液浄化療法科:透析療法の種類」
厚生労働省透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル
日本透析医学会参考文献
透析の開始と継続に関する 意思決定プロセスについての提言

