胃腸炎とは、何らかの原因で胃や腸に炎症が起こる病気です。腹痛、下痢、発熱などの症状がみられることがあります。原因には、ウイルスや細菌による感染のほか、ストレスや薬の副作用なども含まれます。
ノロウイルスによる胃腸炎は感染性胃腸炎の一種です。感染性胃腸炎は年齢を問わず誰にでも起こりうる病気です。原因は、ウイルスのほか、細菌、寄生虫、真菌など多岐にわたりますが、そのなかでも細菌やウイルスによるものが多いとされています。ノロウイルス感染症は、ウイルス性胃腸炎のなかでも特に頻度が高く、冬季に流行しやすいのが特徴です。
ノロウイルス感染症も胃腸炎の一種であるため、症状だけで区別するのは難しい場合がありますが、ほかの胃腸炎と異なる特徴もあります。本記事では、ノロウイルスとほかの胃腸炎の違いについて、原因、症状、見分け方、治療法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
胃腸炎とノロウイルス|原因の違い

胃腸炎の原因を教えてください
胃腸炎は、ウイルスや細菌の感染、ストレス、薬の副作用など、さまざまな要因で起こります。代表的なものにウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があります。ウイルス性ではノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどが知られています。ウイルス性胃腸炎は経過観察のみで改善することが多く、多くは数日以内に自然に軽快します。細菌性ではサルモネラ菌やカンピロバクター、黄色ブドウ球菌などが原因になることがあります。細菌性腸炎も同様に経過観察のみで改善することが多いですが、症状が強い場合は、抗菌薬の投与が必要です。また、食べすぎや飲みすぎで一時的に胃腸が荒れるケースも胃腸炎に含まれます。
ノロウイルス感染症の原因は何ですか?
ノロウイルスは、主にお口から体内に入ることで感染し、人から人へ、または食品を介して広がります。冬季に流行し、感染力が強く、少量のウイルスでも感染してしまいます。代表的な経路は、ノロウイルスを含む食品を食べた場合、感染者が触れた物を介してお口に入った場合、あるいは吐物や便を片づける際にウイルスを吸い込んでしまった場合などが挙げられます。特にカキなどの二枚貝にはノロウイルスが蓄積されやすく、生で食べたり加熱が不十分だったりすると感染の原因になる場合があります。ノロウイルスはアルコール消毒に強く、石けんと流水での手洗いが重要とされています。
【胃腸炎とノロウイルス】症状の違いと見分け方

胃腸炎の症状を教えてください
胃腸炎では、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが起こることがあります。症状の程度は原因によって異なります。ノロウイルスなどのウイルス性腸炎は嘔吐や下痢が目立ちますが、ストレスやピロリ菌による胃腸炎はみぞおちの痛みが中心になる傾向があります。
ノロウイルスに感染するとどのような症状が現れますか?
ノロウイルスに感染した場合、1〜2日の潜伏期間を経て、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が出現します。症状の強さには個人差があり、感染してもまったく症状が出ない方もいれば、風邪のような軽い症状だけですむ方、嘔吐や下痢を繰り返す方もいます。免疫力が保たれていて、基礎疾患がなければ、数日で自然に回復することが多いです。
症状が進行すると、嘔吐や下痢の回数が増え、体力を消耗します。下痢が長く続くことで体内の水分や電解質が失われ、脱水状態になることがあります。特に高齢の方や、がんの患者さんなど免疫力が低下している方は症状が重くなることもあるので、早めに病院を受診しましょう。
自分で胃腸炎とノロウイルスを症状から見分けることはできますか?
症状だけで正確に見分けるのは難しいとされています。例えば、急な嘔吐と下痢が数日続く場合、ノロウイルスの可能性はありますが、ほかのウイルスや細菌性胃腸炎でも同じような症状が出ることがあります。家庭や学校、職場でノロウイルスが蔓延している場合は、自身もノロウイルスに感染した可能性が高いです。したがって、自己判断に頼らず、体調が悪化する場合は病院を受診することが望ましいです。
病院での胃腸炎とノロウイルスの見分け方を教えてください
症状や周囲での流行状況などを参考にしながら、総合的にノロウイルス感染症かどうかを判断します。しかし、症状だけで正確に特定することはできず、確定診断のために検査が行われることもあります。
ノロウイルス抗原検査は、便に含まれるウイルスを専用の検査キットで確認する方法です。3歳未満や65歳以上の方などを対象に、医師が必要と判断した場合に健康保険が適用されます。この検査は結果が早く得られる利点がありますが、感染していても陰性となる場合があり、感染していないと断定することはできません。なお、対象年齢以外の方は健康保険の適用外となるため、診療では症状の経過や診察所見を踏まえて判断します。

