
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、WEB漫画サイト「コミプレ」で連載中の、三輪まことさんが描く『みどろ』より『翠蓮』をピックアップ。
三輪まことさんが10月29日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、4.9万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、三輪まことさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■遊女とその弟の強い絆

舞台は明治時代の宮崎県。正秋の姉・翠蓮は、遊廓で遊女として働き、弟との生活を支えていた。翠蓮のおかげで正秋は大学を卒業し、学校の先生になることが決まっていた。
この時、梅毒を患っていた翠蓮は、正秋を一人前にするために最後の力を振り絞り、遊廓の常連客である貿易商の紺野に養子縁組を頼む。先生になる正秋に、“女郎の姉”はいらない、という翠蓮。日に日に体は弱っていたが、
「あんたはあたし あたしはあんた…」
と、正秋の幸せのために奮闘する。
それから半年後、養子縁組の顔合わせ当日。現地に向かった正秋だったが、その家は売却されており、誰も住んでいなかった。全ては貿易商を名乗る紺野に騙されていたのだった。
梅毒が全身に回り、遊女を続けられなくなっていた翠蓮に、万事うまくいった、と言う正秋。それから数年後、脳にまで毒が回り翠蓮は死んでしまう。
姉の死から20年以上が経ち、正秋は姉の金を持ち去った紺野がいる東京におり……。
作品を読んだ読者からは、「姉弟愛に泣いてしもうた」「人の因業がとても綺麗な絵柄で鮮やかに描かれてる」「画力もお話も吸引力高い」「凄いものを読ませて頂いた…」など、反響の声が多く寄せられている。
■作者・三輪まことさん「遊女・女給がただただ不幸であるというところだけを描くのではなく…」

――『みどろ』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
元々は掲載媒体であるヒーローズさんの読切企画から始まりました。担当さんから好きなテーマや描きたいテーマが無いか聞かれた時、以前から戦前・特に昭和初期の私娼街について興味を持っていたので、それについて描いてみたいと答えたのがきっかけでした。
ジャンルとしては「遊郭もの」が近いジャンルになるかとは思うのですが、遊女・女給がただただ不幸であるというところだけを描くのではなく内に秘めた強さや情念を描くことに注力した読切を制作したところ、ありがたいことに読者さんの反応がよかったのでそのまま同じテーマで連載企画『みどろ』を通していただけることになりました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
第一に、キャラクター達の表情の描き方についてはとても気を使っています。
『みどろ』という作品は題名が表すように出てくるそれぞれの主人公達が心無い人々からのレッテルだったり家族からの拒絶もしくは強い愛情など色々なものにまみれながら生きています。そんなキャラクター達の情念・心情を表現することはこの作品の最も重要な部分ですので顔のそれぞれのパーツや手(手にも表情があると思っています)などミリ単位の修正を繰り返して描いています。
また作品の雰囲気を大正・昭和レトロにしすぎないことに気を付けています。~レトロというとどこか異世界のようなファンタジックな雰囲気を感じてしまう方々も少なくないと思います。
しかし今作の舞台は間違いなく現代と地続きの、私の世代でいえば祖父母や曽祖父母が生きていた時代であるということを忘れないようにして制作しています。
――『翠蓮』のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
冒頭の4ページ・1コマ目の翠蓮が「あんたはあたし あたしはあんたよ」と言いながら正秋と顔をつき合わせているシーンが好きです。2人の関係性を表す象徴的シーンかなと思っています。
また36ページ1コマ目のままならないながらも宿願を果たした正秋の表情が気に入っています。何度も描きなおして苦労しましたが、完成して原稿を見直してこの表情だな、うまく描けたな…と感じています。また同ページ2コマ目の「業にまみれてやがる」というセリフも好きです。こちらはコミックス2巻収録の『一華』の回でその対になるセリフがありますので是非コミックスで確認していただきたいです。
――X(旧Twitter)の投稿には多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていますか?
多くの反応をいただき本当に有難いことだと思っております。一部センシティブなシーンもあるにもかかわらず引用リポストも多くしていただき驚いています。
暖かいコメントを沢山いただく中で、純粋に「面白かった」と感じていただいたコメントも多く、作者としてこの漫画を描いて本当によかったなと感じました。
――三輪まことさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
私自身が描けるもの・その特性と読者の皆様に楽しんでもらえるエンターテイメントとのバランスをしっかりとりつつ、読んで「面白かった!」と言ってもらえるような作品づくりに取り組んでいきたいと思っております。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
『みどろ』を読んでくださり本当にありがとうございます。『みどろ』・『翠蓮』に出会ったことによって読者の皆様の心の片隅にキャラクターの感情や機微が居残っていたとしたら作者として幸甚の至りでございます。『翠蓮』は『みどろ』の中の一篇ですのでコミックスで読んでいただけたら登場キャラクターの関係性などより深掘りしたところまで楽しめると思います。これからも『みどろ』をどうぞよろしくお願いいたします!

