狭心症の主要な原因である動脈硬化は、血管壁にコレステロールなどの脂質が蓄積することで進行します。冠動脈における動脈硬化がどのように進行し、狭心症を引き起こすのか、その病理学的変化について解説します。また冠動脈狭窄の程度と症状の現れ方の関係についても詳しく説明します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
動脈硬化による狭心症の発症機序
狭心症の主要な原因である動脈硬化について、その発症機序と進行過程を詳しく解説します。
動脈硬化の病理学的変化
動脈硬化は血管壁にコレステロールなどの脂質が蓄積し、血管が硬くなり、内腔が狭くなる疾患です。冠動脈における動脈硬化は、内膜への脂質の沈着から始まります。初期は脂肪斑と呼ばれる黄色い斑点として現れ、これが徐々に成長して動脈硬化プラークを形成します。
プラークは線維性被膜で覆われた構造を持ち、内部には脂質コア、泡沫細胞、平滑筋細胞、膠原線維などが含まれています。プラークが成長すると血管内腔が狭窄し、血流が制限されます。
プラークの性状も重要で、線維性被膜の薄い不安定プラークは破綻しやすく、破綻により血栓が形成されると急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症)を引き起こす可能性があります。一方、線維性被膜の厚い安定プラークは破綻しにくいものの、徐々に成長して血管内腔を狭窄させます。
冠動脈狭窄の程度と症状の関係
冠動脈の狭窄の程度と症状の現れ方には密接な関係があります。軽度狭窄(25%未満)では通常症状は現れません。中等度狭窄(25-50%)でも安静時には症状がなく、激しい運動時にのみ軽度の症状が現れることがあります。
50-70%の狭窄になると、中等度の運動で症状が現れるようになります。この段階では階段昇降や坂道歩行などの日常的な活動で胸痛や呼吸困難を感じるようになります。70-90%の高度狭窄では、軽度の運動や場合によっては安静時にも症状が現れ、生活の質が大きく損なわれます。
90%以上の亜完全閉塞では、わずかな労作でも症状が現れ、重篤な状態となります。また、完全閉塞が急激に起こると心筋梗塞となり、緊急治療が必要になります。ただし、長期間かけて徐々に狭窄が進行した場合は、側副血行路が発達し、完全閉塞でも症状が軽微な場合もあります。
参考文献
日本循環器学会 – 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン
厚生労働省 – 循環器疾患の現状と対策国立循環器病研究センター – 労作性狭心症(安定狭心症)
厚生労働省 – 心疾患に関する留意事項あわせて読みたい
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