●「元妻が娯楽に使ったか」は判断困難
──養育費の一部が元妻自身の娯楽や交際費に使われていた場合、返還を求めることはできますか。
法的には、養育費の一部が元妻自身の娯楽に使われたとしても、それだけで不当とはいえません。返還請求も原則として認められません。
養育費は、監護親の裁量のもとで「子の生活全体」に充てることを前提としています。実際には、子と共に生活する親の生活費と子の生活費は重なり合う部分が多く、支出の線引きは容易ではありません。
そのため、「娯楽費に流用された」と明確に断定できるケースは、ほとんど想定しにくいということになります。
●過度な使途追及は「子どもに悪影響」の可能性も
──養育費が本来の目的に使われるようにするには、どのような工夫が必要でしょうか。
まず、支払う側・受け取る側ともに、養育費が「子どもの権利」に基づくお金であることを理解することが大切です。
離婚後であっても、最低限の信頼関係を保ちつつ、養育費の支払いや面会交流を続けていくことが望まれます。
監護親が養育費を受け取りながら、子をネグレクトしているなど、よほどの事情がない限り、使途を細かく追及することは避けるべきです。過度の干渉は、元配偶者の生活を抑圧し、かえって子どもの健全な育成を損なうおそれがあります。
【取材協力弁護士】
鈴木 菜々子(すずき・ななこ)弁護士
弁護士登録以降、離婚・相続を主とした家事事件に注力。千葉市の弁護士法人とびら法律事務所は、累計7000件以上の相談実績を誇る。特に離婚事件については、法的知識だけではないノウハウの蓄積に基づき幅広い案件に対応している。迅速な案件解決に力を入れている。
事務所名:弁護士法人とびら法律事務所
事務所URL:https://www.tobira-rikon.com

