「逆流性食道炎の治療法」はご存知ですか?自覚症状や食生活での注意点も解説!

「逆流性食道炎の治療法」はご存知ですか?自覚症状や食生活での注意点も解説!

逆流性食道炎(reflux esophagitis)とは、胃内容物の食道への逆流により食道粘膜に炎症を起こす病気です。近年日本においては、食生活の欧米化と認知度の向上により有病率が上昇している病気の1つとなっています。治療には主に生活習慣の改善と薬物療法を行いますが、治療が長期にわたるケースや外科的治療が必要なケースもあります。本記事では、逆流性食道炎の基礎から治療、生活習慣で気をつけることを解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

逆流性食道炎の概要

逆流性食道炎の概要

逆流性食道炎はどのような病気ですか?

逆流性食道炎とは、胃食道逆流症という病気の1種です。胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease)とは、胃の内容物(胃酸や非酸の物質)が何らかの原因により食道へと逆流する病気です。そのなかで、内視鏡検査により、食道粘膜にびらんや潰瘍などの炎症所見が見られるものが逆流性食道炎と診断されます。一方で、粘膜欠損を伴わない場合は非びらん性胃食道逆流症(NERD:Non-Erosive Reflux Disease)と診断されます。

これらの病気の原因である胃内容物の逆流は、以下が原因と考えられています。

下部食道括約筋(Lower Esophageal Sphincter: LES)圧の低下

食道裂孔ヘルニア(胃の一部が食道の位置へと飛び出している状態)

腹圧の上昇

消化管運動機能の低下

胃酸過多

食生活や姿勢などさまざまな要素がこれらには関与しています。

逆流性食道炎の自覚症状を教えてください

逆流性食道炎の自覚症状には、典型的な症状と非典型的な症状があります。
典型的な自覚症状は、胸やけと胃内容物の逆流による呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)です。特に食後や就寝時に症状が強くなる傾向にあります。典型的症状は逆流性食道炎を強く示唆するため、週に2回以上これらの症状を認める場合には、内視鏡検査を行わなくとも逆流性食道炎と診断されます。

逆流性食道炎には非典型的な症状もあります。
食道における症状としては、狭心症に類似した症状(非心臓性胸痛)を認めます。
一方で、食道外症状としては、以下のような症状があります。

喉頭炎

咳嗽

喘息

歯の酸蝕症(酸により歯が溶ける)

喉の違和感

嗄声(声のかすれ)

これらの症状は、胃内容物の食道や食道外臓器への逆流による直接的な刺激だけではなく、迷走神経や痛覚神経への刺激が関与していると考えられています。

非典型的な症状の場合には、どの診療科を受診していいかわからず、診断がなかなかつかないケースがあります。実際、長く続く咳症状の原因が実は逆流性食道炎が原因というケースは少なくありません。そのため、胸やけや呑酸症状がなくても、上記のような症状がある場合は、逆流性食道炎が原因の可能性もあります。

逆流性食道炎を治療しないとどうなりますか?

逆流性食道炎を放置すると、食道粘膜の損傷が広がります。損傷が広がり食道粘膜にびらんや潰瘍が生じると貧血、出血、食道狭窄の発生につながります。また、食道粘膜の慢性的な炎症により、本来の扁平上皮が、胃粘膜を構成する円柱上皮に置き換わるバレット食道の発症にもつながります。バレット食道は、食道腺がんのリスクといわれています。こういった合併症を防ぐためにも逆流性食道炎の早期発見、早期治療が大切です。

逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎は治療すれば完治しますか?

症状が完全に消失し内視鏡において粘膜の障害を認めず再発リスクが極めて低い状態を完治と考える場合、治療すれば完治するといい切ることは難しいです。逆流性食道炎は、再発しやすい病気であり、治療の目標はつらい症状の改善と合併症の予防です。しかし多くの場合では、適切な治療により症状が改善し、日常生活を快適に過ごすことができます。

逆流性食道炎の治療法とその効果を教えてください

治療は、一人ひとりの状況に合わせて選択されます。薬による内科的治療と、生活習慣の改善が治療の基本です。治療による改善が乏しい場合や、再発を繰り返すケースでは外科的治療が行われることもあります。

基本的な薬物療法は、胃酸分泌を抑える薬を使用します。主に、PPI(プロトンポンプ阻害薬)、P-CAB(カリウムイオン競合型胃酸抑制薬)、H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)という種類の薬です。そのほかには、胃粘膜保護薬、制酸剤、消化管運動機能改善剤、漢方薬などがあります。患者さんごとの症状や重症度によりこれらを併用することもあります。
薬物療法と同時に、生活習慣の改善を行います。例えば、禁煙、夜遅い時間の食事を避ける、肥満者への減量なども胃酸の逆流防止に対しての有効性が報告されています。

外科的治療を行う場合もあります。外科的治療にはいくつか種類がありますが、胃から食道への逆流を物理的に防ぐ目的で行われます。

逆流性食道炎はどの程度の期間で治りますか?

一般的に逆流性食道炎の初期治療は、4〜8週間です。具体的には、従来から使用されているPPIは8週間、近年注目されているP-CABは4週間を初期治療として行い、評価します。治療の改善がない場合や効果に乏しい場合は、それぞれPPI抵抗性GERD、P-CAB抵抗性GERDと診断されます。

症状の程度によっては、服薬開始後数日で改善が見られるケースもありますが、再発するケースも少なくなく、治療が数ヶ月から年単位で必要となることもあります。

逆流性食道炎が再発することはありますか?

はい。逆流性食道炎は再発しやすい病気とされています。そのため、症状の改善目的に治療を開始し、改善が見られた後に維持療法として治療を継続することもあります。維持療法には、PPI、P-CABを用います。特に治療前の症状が強かった場合、治療中止後に食道狭窄や食道腺がんなどの合併症につながる可能性があるため、維持療法がすすめられます。近年は、症状が出現した場合もしくは出現しそうだなと感じた際に服薬を開始し、症状が改善したら中止するオンデマンド療法という方法も選択されます。

一人ひとりの症状に合わせて治療法を選択し、再発や合併症を予防するために治療を行います。

配信元: Medical DOC

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