食後の血糖値が高いとどうなる?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
食事と血糖値の関係性とは?
「血糖値」とは、血中に含まれるブドウ糖(グルコース)濃度を示す値です。ブドウ糖は、体を動かすエネルギー源として使われ、食事に含まれる炭水化物・タンパク質・脂質といった栄養素が消化・吸収されることで供給されます。
これらの栄養素はそれぞれ血糖値への影響の仕方が異なります。
栄養素 多く含まれる食材 血糖値における特徴
炭水化物 ご飯・パン・麺類など 消化吸収が速く、食後の血糖値を大きく・速く上昇させる。血糖値を変動させる最大の要因。
タンパク質 肉・魚・大豆製品など 糖に変わるスピードが緩やかなため、血糖値の上昇は比較的穏やか。
脂質 油・バターなど 糖に変わるスピードが緩やかなため、血糖値の上昇は比較的穏やか。
また、野菜や海藻類に豊富な食物繊維は、糖の吸収を遅らせることで、食後の急激な血糖値上昇を抑える重要な役割を果たします。
食後の血糖値はどのように変化する?
ここからは、食後の血糖値の変化について解説します。血糖値変化の流れを知り、ご自身の体調変化や糖尿病への理解を深めていきましょう。
血糖値は食事後1時間〜2時間でピークになる?
食べたものの種類や量にもよりますが、健康な方の場合、血糖値がピークに達するのは食後1時間〜1.5時間後が多いです。
これは、食事で摂取した栄養素が消化され、ブドウ糖として血液中に吸収されるまでに一定の時間がかかるためです。
ピークに達した血糖値は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンのはたらきにより徐々に下降します。
食事で上がった血糖値はどうやって下がるのか?
食事によって上昇した血糖値は、おもに「インスリン」というホルモンの働きによって正常な範囲まで下がります。インスリンは血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンで、すい臓にあるランゲルハンス島β細胞(ベータさいぼう)という部分から分泌されます。食事で上がった血糖値が、インスリンのはたらきで下がる流れは、以下のとおりです。
1.食事によって血糖値が上昇する
2.血糖値の上昇を感知したすい臓からインスリンが分泌される
3.インスリンが糖を必要とする細胞の「受容体」という部分に結合する
4.インスリンが受容体に結合すると、血液中の糖分が、細胞に取り込まれてエネルギーとして利用される
5.インスリンのはたらきにより、余った血液中の糖分は形を変えて肝臓や筋肉、脂肪などに貯蔵される
6.血液中の糖分が利用されて減少したため、血糖値が下がる
細胞がブドウ糖をエネルギーとして利用したり、いざという時のために貯蔵したりすることで、血液中のブドウ糖濃度、つまり血糖値が下がります。インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪などの細胞に取り込ませるための「鍵」のような役割を果たすのです。
血糖値は食後2時間後に正常値へ
インスリンが正常に機能していれば、食後2時間ほど経過すれば血糖値は正常な範囲まで下がります。もし食事から2時間経っても血糖値が140mg/dL以上の高い状態が続く場合は、「食後高血糖」と判断されます。これはインスリンの分泌量が不足しているか、その効き目が悪くなっているサインかもしれません。実際、糖尿病の診断においても、糖分を摂取してから2時間後に血糖値が140mg/dL未満まで下がるかは非常に重要な指標となります。

