「食後血糖値」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「食後血糖値」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病・糖尿病予備群
糖尿病や糖尿病の手前の状態である「糖尿病予備群(境界型)」では、食後血糖値が上がるケースが多く見られます。
糖尿病は、インスリンの作用が不足して血糖値が高い状態が慢性的に続く病気で、遺伝的要素や生活習慣が原因とされています。
代表的な治療法は、以下3種類です。
・食事療法:血糖値を上げる原因である食事の種類や量を工夫する
・運動療法:運動によって体内の糖を消費したり、インスリンの効きをよくしたりする
・薬物療法:飲み薬や注射でインスリンのはたらきを助けたり、糖の排泄を促したりする
健康診断で異常を指摘されたり、気になる症状があったりする場合は、内科または糖尿病内科を受診しましょう。
動脈硬化
食後血糖値の高さをはじめとする血糖値の変動は、血管の壁を傷つけ、動脈硬化のリスクを高めます 。動脈硬化だけで自覚症状があらわれることは、ほぼありません。しかし、動脈硬化は以下のような重大な病気のリスクを高めるため注意が必要です。
・心筋梗塞
・脳梗塞
・末梢動脈疾患(例:足の痺れ、痛み、冷たさなど)
・足病変(例:足が壊死する)
動脈硬化の進行を防ぐには、食後高血糖をはじめとする血糖値の管理が欠かせません。血糖値の管理は糖尿病内科、動脈硬化自体の評価や心臓・血管系の管理は循環器内科が専門となります。
受診先に悩んだら、まずはかかりつけの内科で相談するのもよいでしょう。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、脳細胞がダメージを受ける病気です。おもに以下2つの原因によって起こるとされています。
・動脈硬化によって脳の血管が狭くなったり、プラーク(血管内のこぶ)が破れてできた血栓(血の塊)が詰まったりする
・心臓の不整脈などによってできた血栓が血流に乗って脳まで届き、血管を詰まらせる
動脈硬化には、糖尿病をはじめとする生活習慣病が大きくかかわります。それもあり、糖尿病の方は、そうでない方と比べて脳梗塞の発症リスクが男性は2.2倍、女性は3.6倍高いとされています。
もし片側の手足の麻痺や痺れ、ろれつがまわらないなどの症状があらわれたらすぐに救急車を呼び、脳梗塞の専門治療ができる医療機関を受診しましょう。
認知症
近年、糖尿病が認知症のリスクを高めることが明らかになってきました。
たとえば、糖尿病の方はそうで無い方よりも、以下のように認知症のリスクが高いとされています。
認知症のタイプ どのような認知症か 糖尿病でない方と比べた認知症のなりやすさ
アルツハイマー型認知症 脳の神経細胞が減り、脳が小さくなって機能が失われ、認知機能が低下する 約1.5倍
脳血管性認知症 脳梗塞や脳出血が原因で脳細胞が失われ、認知機能が低下する 約2.5倍
認知症の確実な治療法はまだありませんが、血糖コントロールを良好に保つことは、発症リスクの軽減につながります。物忘れが増えた・言葉がうまく出てこないなどの変化があれば、精神科や脳神経内科、もの忘れ外来などにご相談ください。
「食後血糖値」の正しい対処法・改善法は?
食後血糖値の異常は、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。ここでは、今日から始められる具体的な方法を解説します。
血糖値を下げる飲み物や食べ物はある?
「これを食べれば血糖値が下がる」という、魔法のような食品はありません。ただし、日々の食事に上手に取り入れることで、血糖コントロールを助けてくれる食べ物や飲み物はあります。
・糖分を含まない飲み物(コーヒー・緑茶・麦茶など)
・食物繊維を多く含む野菜・海藻・きのこなど
・白米より血糖値の上昇が穏やかな玄米や発芽玄米
・通常のパンより血糖値の上昇が穏やかな全粒粉パン
ただし、基本的には炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよく摂ることが大切です。特定の食べ物だけを偏って摂るのではなく、栄養バランスのよい食事をよく噛んで食べることを心がけましょう。
運動で食後の血糖値を下げることはできる?
運動は食後の血糖値を下げるのに非常に効果的です。運動をすると、筋肉への血流が増えてブドウ糖が細胞によく取り込まれるため、効率よく血糖値が低下します。また、運動を継続すると筋肉の量も増えるため、より糖をエネルギーとして上手に使えるようになります。
食後であれば効果はあるため、食後1〜2時間頃に運動をするとよいでしょう。取り入れやすく、おすすめなのはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動や、筋肉トレーニングです。ヨガや太極拳、水泳なども効果があります。有酸素運動の場合、1日15〜30分を1日2回程度おこなうのが目安となります。ただし、1日だけ長く運動をするよりも、無理のない範囲で続けることが大切です。食後の血糖値が気になる方は、ぜひ食後の散歩を取り入れてみてください。
食後血糖値の改善で心がけたい生活習慣
食後血糖値を改善するには、以下のような生活習慣を心がけるのがおすすめです。
・食事は1日3食をバランスよく規則正しく摂る
・食べすぎに注意し、腹8分目を心がける
・ゆっくりとよく噛んで食べる
・糖分を含まない水分をこまめに摂取する
・アルコールは飲みすぎに注意し、タバコはやめる
・食事の際は食物繊維の多い野菜、タンパク質の多い魚や肉、糖分の多い炭水化物の順で食べる
無理のない範囲から、少しずつ取り入れてみてください。

