
大学の友達・夕子が、元カレと付き合い始めた。夕子は「私は恋愛したことないからいい機会」「今は別れて友達なんでしょ?」とデリカシーのないことを言う彼女の態度にイラつきながらも、“私”は友達でいる――。そんな複雑な友情を描いた、宮子玲子(@015_3625)さんの「フローティング・夕子」を紹介するとともに、制作の経緯を聞いた。
■浮いているがテーマの物語、実在モデルから生まれた夕子というキャラクター



本作「フローティング・夕子」は、作者の宮子玲子さんがコミティアで毎回新作を発表するという目標に取り組んでいた時期に生まれた作品だ。宮子さんは当時を振り返り、「開催の1カ月前になってもアイデアが形にならなくて」と制作の行き詰まりを明かす。思い描いていた話を断念し、「急いでコミティアに間に合わせようと思って浮かんだのが、この話です」と語っており、切迫した状況が本作誕生のきっかけになったという。
タイトルの由来について、宮子さんは「周りから浮いているがテーマだったので、フローティング=浮いている、という意味でこのタイトルにしました」と話す。
夕子の人物像には実在のモデルがいるという。宮子さんは「夕子は過去の同僚をモデルにしています」と明かし、その人物が「独特な話し方や振る舞いで周りから少し浮いていた」と当時の印象を語る。一方で仕事にはとても熱心で、「言いにくいことも必要であればはっきり言ってくれる」と話す。そうした特徴をヒントに、漫画っぽくわかりやすいキャラクターに落とし込んでいったそうだ。
また、「私は、どんな人に対しても心からわかり合える部分とわかり合えない部分の両方があるだろうと思っています。『相手のすべてを好き』と言うのは難しくても、相手にうれしいことがあれば思わず一緒に喜んだり、友情を育むことはできると思います」と、夕子というキャラクターを通して伝えたかった思いを語ってくれた。
まっすぐな考えを持ちながら、人の心情が読み取れない不器用さも併せ持つ夕子の姿を通し、友情や人間関係の微妙な揺れを丁寧に描いているのが本作の魅力である。ぜひ、読んでみてほしい。
取材協力:宮子玲子(@015_3625)
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