前頭側頭型認知症の主な原因
前頭側頭型認知症がなぜ起こるのかは完全には明らかにはなっていません。今のところ、下記のような要因が、病気を引き起こす要因となっているのではないかと考えられています。
脳内への異常な蛋白質の蓄積
前頭側頭型認知症の方の脳を実際に調べた研究によって、神経細胞やグリア細胞に異常な蛋白質が溜まってしまうことが知られています。例えば、タウ蛋白、TAR DNA-binding protein of 43kD(TDP-43)蛋白、fused in sarcoma(FUS)蛋白といった蛋白質が挙げられます。
タウ蛋白の異常蓄積によって発症すると考えられている病気は、タウオパチーと呼ばれています。FLTDでタウオパチーを認めるものはFLTD-tauと呼称されています。前頭側頭型認知症だけでなく、Pick病や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺といった他の病気の症状を示すこともあります。このように、実際には、病理診断(組織所見)と、症状から診断される病名(臨床病型)が一致しないことも多いです。原因遺伝子の変異も複数関与するため、診断には専門的な評価が必要です。
前頭葉や側頭葉の萎縮
前頭側頭型認知症の方は、CT・MRI検査で、脳の前頭葉や側頭葉の萎縮が示されます。萎縮した部位に一致して、血流や代謝の低下も認められます。
FLTDは病的蛋白質の蓄積が背景となっています。こうした蛋白質の蓄積部位と、画像上での脳萎縮部位が一致しているのかどうかの推定には限界があります。一方、研究段階の高感度蛋白質PETという検査で病的なタウを可視化できるようになりつつあります。今後の研究開発が待たれるところとなっています。
家族歴
アメリカやヨーロッパでは、FTLDの30〜50%に家族歴が認められます。一方、日本ではほとんど認められません。家族性の場合、tau遺伝子、TARDBP遺伝子、FUS遺伝子、progranulin遺伝子などに変異が見つかっています。家族歴の関与が少ない日本でも遺伝子異常が見つかることもありますので、家族歴には注意をしましょう。
前頭側頭型認知症の主な症状や特徴
前頭側頭型認知症の中でも、ここでは最も多いとされる行動障害前頭側頭型認知症(bvFTD)の症状についてご紹介します。
行動の抑制が効かなくなる
脱抑制と呼ばれる状態です。病気の早期段階から現れることが多いです、万引きや盗食など社会的に不適切な行動や、礼儀・マナーの欠如、衝動的で分別にかけた行動などがみられます。こうした行動をとっていても、患者本人に悪気はありません。
身近な方に対して、「最近性格が変わった」と感じる場合、前頭側頭型認知症の可能性もあります。早めに脳神経内科専門医に相談してみましょう。
共感や感情移入ができなくなる
他人からの要求や、向けられる感情に対しての反応が欠如するようになります。
また、社会的な興味や他者との交流に興味がなくなったり、人間的な温かみが低下したりするなどの性格変化が現れます。
一つのことに固執し同じことを繰り返す
常同行動と呼ばれる状態です。前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症との違いとしても、重要な症状です。日常生活の中では、1日中同じコースを数kmも歩き続ける、決まった食品や料理ばかりにこだわるといったことがあります。柔軟性がなくなったと感じることが増えます。

