人との会話がうまくかみ合わない、同じ失敗を繰り返してしまう、などの悩みを抱えている一方で、周囲からは特に違和感を持たれず、普通に見られることで戸惑いを感じる女性がいます。もしかすると、その背景には軽度知的障害があるかもしれません。
軽度知的障害とは、IQが平均よりやや低い水準でありながら、外見や日常生活ではわかりにくい困難を抱える状態を指します。特に女性の場合は、周囲に合わせる力が高いため、障害の兆候が見逃されやすく、必要な支援につながりにくい傾向があります。
本記事では、軽度知的障害の女性に多くみられる特徴を解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「女性が軽度知的障害」を発症するとどんな「特徴」が現れるかご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 佳宏(医師)
島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科の専門外来を経験。現在は和クリニック院長。愛着障害やトラウマケアを専門に講座や情報発信に努める。診療科目は精神神経科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経内科。 精神保健指定医、認定産業医の資格を有する。
軽度知的障害の女性にみられる特徴

日常生活での特徴を教えてください
軽度知的障害のある女性は、日常の多くの場面で自立した日常生活を過ごせます。一方で、日々の暮らしのなかで困難を感じる場面も少なくありません。
例えば、抽象的な表現や複雑な指示の理解が難しいため、役所や銀行などでの手続きで戸惑うことがあります。また、時間の管理や予定の調整が苦手で、うっかり約束を忘れてしまう場面も見受けられます。
さらに、計算や金銭管理に不安がある場合には、計画的な買い物が難しかったり、支払い時に戸惑ってしまったりすることがあり、周囲の支援や配慮が必要な場合があります。
軽度知的障害の女性は仕事面ではどのような特徴がありますか?
仕事においては、指示を一度で理解するのが難しく、何度も確認しながら業務を進める場面が多く見受けられます。また、忘れ物が多くみられる、業務の優先順位がつけられない、複数の作業を同時に進めるのが苦手などといった傾向もあります。特に、急ぎの対応や複数の課題が重なる状況では、混乱しやすくなる傾向です。
一方で、手順が明確に決められた作業や、マニュアルに沿った業務においては高い適応力を発揮することもあります。
軽度知的障害の女性にみられる性格の特徴を教えてください
性格的には、おとなしく控えめで、人に合わせようとする傾向がみられます。そのため、自分の意見を積極的に伝えるのが苦手で、頼まれごとを断ることに抵抗を感じ、無理をしてでも応えようとする姿勢を示すことも少なくありません。また、感情のコントロールがうまくいかず、学校や職場などでのストレスに敏感に反応しやすい傾向があります。
さらに、学業や仕事で思うように成果が出ない経験を重ねるうちに、自信を失いやすくなり、自らの能力に不安を抱くようになることもあります。
対人関係では、相手の気持ちや意図を読み取ることが難しいと感じる場面も多く、誤解やすれ違いが生じることもあります。また、特定の物事に対するこだわりが強いのも特徴です。
編集部まとめ

軽度知的障害のある女性は、見た目や話し方だけでは気付かれにくいものの、日常生活や対人関係、仕事などでさまざまな困難を抱えていることがあります。時間管理や金銭のやりくり、抽象的な表現の理解などが難しく、誤解を招いたり孤立につながったりしてしまうこともあります。
こうした困難に対しては、具体的で丁寧な説明や視覚的なサポート、肯定的な声かけなどが有効です。また、失敗を責めるのではなく、できたことに注目して環境を整えることが、本人の自信や意欲につながります。
本人の特性を丁寧に理解し、温かく寄り添った関わりを意識することで、自立した暮らしを送るための支えになります。
参考文献
厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」
東京大学大学院教育学研究科「知能指数(IQ)」

