没後40年、いま出会うシャガール──「花束」が語る愛と祈り【ギャルリーためなが】

00_エントランス

01_たてものギャルリーためながの建物外観

現在、この新しいギャラリーで12月7日まで「マルク・シャガール没後40年展」が開催されています。会場には、晩年の作品を中心に30余点が並びます。

シャガールと聞くと、空を舞う恋人たちや、深い青の世界を思い浮かべる人も多いでしょう。
けれど今回は、もう少し“静かで個人的なシャガール”に出会える展覧会となっています。

02_内観会場のようす

スタッフの方にお話を伺いながら拝見しましたが、ポイントはやはり、シャガールがヴィテブスクという土地に生まれたこと、そしてユダヤ人として生きたこと。この二つが、彼の作品と人生の根底に深く流れています。

詩と祈りを描いた画家

1887年、マルク・シャガールは、当時ロシア帝国領だったヴィテブスク(現在のベラルーシ)に生まれました。この土地は独特の宗教観を持ち、人々は身近な動物、ヤギや羊、ニワトリにまで愛情を注ぐ文化を育んでいました。

そのため、シャガールの作品に登場する動物たちは、単なるモチーフではなく、郷土の信仰と祈りを映す象徴でもあります。ピエロやサーカスといった主題も、幼少期に親しんだヴィテブスクの祝祭的な雰囲気と深く関わっているのでしょう。

会場にも、こうしたモチーフを描いた作品がいくつも展示されています。

03_内観3会場のようす

ベラとの出会い──運命のはじまり

1909年ごろ、若きシャガールはヴィテブスクで、のちに生涯の伴侶となるベラ・ローゼンフェルトと出会いました。この出会いが彼の人生を決定づけたと言われています。

20代でパリに渡ったシャガールは、「ラ・リュッシュ(蜂の巣)」と呼ばれる集合アトリエでザッキンらと共に制作を始めました。多くの画家に囲まれながらも、詩人ギョーム・アポリネールや作家ブレーズ・サンドラールと交流し、絵画のみならず詩や音楽、宗教的象徴といった幅広い表現に影響を受けていきます。

キュビスムやシュルレアリスムにも関心を寄せましたが、形式にとらわれず、より叙情的で詩的な表現へと傾いていきました。

04_作品2会場のようす

1914年、第一次世界大戦が勃発する直前にヴィテブスクへ帰郷したシャガールは、再びベラと再会し、翌1915年に結婚します。この時期、彼女から誕生日に贈られた花束のエピソードは特に有名です。その喜びを描いた《誕生日》は、シャガールの代表作の一つとして知られ、以後“花束を抱く花嫁”のモチーフは生涯繰り返し描かれることになります。

配信元: イロハニアート

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