花束が語るもの
本展の中心となっているのは、「花束」を描いた作品です。
花束はシャガールにとって、単なる装飾ではなく、愛・記憶・祈りの象徴でした。花の向こうに恋人たちや故郷の街並みが描かれ、人生の喜びも別れの痛みも、そして信仰も、すべてが花束とともに表現されています。
会場のようす
スタッフの方はこう話していました。
「シャガールは、時代によって作風が劇的に変わるタイプではありません。長い人生の中で、経験を重ねるほどに“世界の見え方”が深まっていく。その一貫性こそが魅力なんです。」
たしかに、作品を見ていると“変化”というよりも、“成熟”という言葉がしっくりきます。
感じるための展示構成
展示はペン画から油彩までバリエーション豊かで、あえて年代順ではなく“自由”な構成になっています。
シャガールの作品は、人生とともに静かに深まり続けたため、時系列で追うよりも、感情の流れで見る方が自然。
作品と向き合いながら、自分のテンポで歩く──。理解するより、感じること。
会場はまさに、そんな体験のための空間になっています。なお、2階の物故作家コーナーにもシャガールの作品が展示されています。こちらもぜひ見逃さずにご覧ください。
