尿蛋白が出やすい人におすすめの食事は?メディカルドック監修医が尿蛋白が出やすい主な原因や考えられる病気や対処法などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
尿蛋白とは?
尿蛋白とは、尿の中に通常より多くの蛋白がみられる状態です。通常は、1日あたり150mg以上の蛋白が尿中にみられることはありません。しかし、さまざまな原因から尿に蛋白が多く出てしまうことがあります。高血圧や腎炎、糖尿病などで尿蛋白がみられることがあり、早めに気が付くことで腎臓病が悪化する前に治療を開始することができます。
尿蛋白とは?
尿蛋白とは、尿に通常以上に蛋白が漏れ出てしまっている状態です。通常であれば、尿の中には蛋白はほとんどなく、1日に150mg未満ですが、腎臓の糸球体や尿細管などが障害されると蛋白が尿に漏れ出てしまう様になります。軽度では症状がないことが多いです。しかし、尿蛋白量が増加すると、血液中の蛋白濃度が低下し、浮腫が起こりやすくなります。
尿蛋白は何の検査で調べる?
尿蛋白の有無についての検査は、試験紙法で行われます。この検査で、尿蛋白の濃度を測定し、結果を(-)~(4+)で表します。試験紙法で尿蛋白濃度が±の場合は、おおむね15mg/dL以上です。しかし、尿が濃縮されている場合には正常でも±~+と判定されることもあります。一般的に±以上では再検査がすすめられます。または、尿の定量検査で尿蛋白の実際の濃度を測定し、尿中のクレアチニンの濃度との比で一日当たりの尿蛋白の推定量を測定するのが一般的です。この蛋白量が150mg/dLを超えた場合、尿蛋白が陽性と判断されます。
尿蛋白が検出された人はどんな病気のリスクがある?
尿蛋白が持続して陽性と判断された場合、腎臓病である可能性が高いです。尿蛋白が陽性の場合、糸球体腎炎や膠原病、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)、多発性骨髄腫などの病気に伴う腎臓病の可能性があります。診察での所見や、血液検査や尿沈渣などを含めた精密検査を基にどのような原因が考えられるか判断します。最終的には、腎生検を行い病理検査での所見で原因が分かることも多いです。
しかし、このような病気ではなくとも、一時的に蛋白尿がみられることもあるため注意をしなければなりません。尿検査の際に、発熱や激しい運動、蛋白の過剰摂取をしている場合には尿蛋白が陽性となる事もあります。このような場合には、考えられる原因を取り除き、再度尿検査をして判断しましょう。また、随時尿では尿蛋白陽性でも早朝尿では陰性となる体位性蛋白尿であることもあります。体位性蛋白尿は一般的に予後が良好で治療は不要であり、経過観察をすることが多いです。
発熱時・激しい運動後の尿検査
風邪などで体調不良時や発熱時には尿蛋白が出やすいです。また、激しく運動した直後にも尿蛋白が出やすくなります。このため、健康診断などで尿検査をする場合には、体調が悪い時を避けた方が良いでしょう。また、尿検査をする前に激しい運動をしないように注意をしましょう。
尿検査で陽性と診断され、このようなことが疑われる場合には再検査を受けることをおすすめします。
脱水状態での尿検査
脱水の場合、尿は濃縮尿となります。尿蛋白の濃度も濃縮されて濃くなっているため、尿蛋白は陽性となりやすいです。水分をしっかりと摂取して脱水を防いで検査を受けましょう。
月経中の女性の尿検査
生理中は、尿に経血が混ざってしまうことが多いです。見た目ではわからなくとも、尿潜血や蛋白が陽性となる事が多いです。なるべく月経前後での尿検査は避けましょう。もし、健康診断が月経と重なってしまう場合には、その旨を健診機関に話してみましょう。
やせ型の子どもの尿検査
やせ型の子供では、横になって安静にしているときには異常がないにも関わらず、起きると蛋白尿がみられることがあります。これは、立位をとった時にやせ型のために腎臓が圧迫されることで蛋白尿が出ると考えられています。このように起立しているときのみ蛋白尿が出ることを体位性蛋白尿と呼び、これを診断するためには早朝尿では蛋白が陰性であることを確認することが大切です。このような子供の体位性蛋白尿は成長とともに改善するため、治療や生活の制限などは一般的に必要ありません。
尿蛋白が出やすい人におすすめの食事は?
尿蛋白が出やすい・腎臓をケアしたい人の食事療法と栄養素
尿蛋白が持続的に出ている、いわゆる慢性腎臓病では、その病状に合わせた食事療法がすすめられます。一般的には、尿蛋白が出ているだけでGFR(糸球体濾過量)が低下していない場合には、適切なカロリー摂取と減塩のみ勧められます。さらに腎臓病が進行し、GFRが60未満となると、蛋白制限が加わることが多いです。
しかし、例外としてネフローゼ症候群を示す場合には蛋白制限を加える場合もあります。
これらの栄養療法の詳細をお話しします。
尿蛋白が出やすい人の腎臓にいい主食の工夫
腎臓病の場合には、カロリー不足となる事も腎臓病が進行する要因となります。このため、1日の推奨カロリーは体重当たり25~35kcalです。腎臓病を進行させないためには、カロリー不足も、カロリー過剰も良くありません。適切なカロリー摂取をしましょう。
朝食・夕食をしっかり食べる
間食などを食べすぎると、糖尿病など生活習慣病のリスクとなります。生活習慣病は腎臓病の原因として最も多くなっています。間食を控え、三食をしっかり食べるようにしましょう。また、高齢者ではエネルギーが不足していることも多いです。食事をしっかりとるようにすることも大切です。
塩分やタンパク質の過剰摂取に注意する
塩分を制限することにより腎尿細管の負荷を軽減することができます。そのため腎臓病の場合、減塩がすすめられます。1日当たり6g未満の塩分摂取としましょう。
また、タンパク質は分解されると尿素や窒素となり、これを腎臓で排泄する際に負担がかかったり、老廃物が蓄積してしまいます。そのため、腎機能の低下が進行した腎臓病では、病状の進行を防ぐためにたんぱく制限が必要です。それぞれのステージでの蛋白摂取の推奨量は以下の様になっています。自分の現在の状態が分からない場合には主治医に確認すると良いでしょう。
ステージ(GFR) たんぱく量(g/kgBW/日) 食塩(g/日)
ステージG1~2(GFR ≧ 60) 過剰を控える < 6.0
ステージG3a(GFR 45~59) 0.8~1.0
ステージG3b(GFR 30~44) 0.6~0.8
ステージG4(GFR 15~29) 0.6~0.8
ステージG5(GFR < 15) 0.6~0.8
ネフローゼ症候群 0.8
ただし、年齢やそのほかの病態により蛋白制限を緩めることもあるためご自身に合った食事療法について確認してみましょう。
香辛料やレモンなどの酸味を活用する
腎臓病の食事は、減塩食のため味気なく感じて食欲が低下することも少なくありません。塩分のかわりに香辛料やレモンなどの酸味を加えて食欲を維持しながら、減塩をすすめましょう。

