ジョークというエールに救われた
「…実はさ、たつきが、保育園で女の子を噛んじゃったの」
最初の一言が出るまでに少し勇気がいったけれど、一度話し始めると、言葉が止まりませんでした。園でのこと。謝罪の場での久美子さんの言葉。家まで呼び出されたこと。慰謝料を求められたこと。
「えっ?謝ったのに、それ以上の何が誠意なの?」
「ゆかりと旦那さんは、ちゃんと謝ったんでしょ?」
ふたりは私の思いに同意してくれました。
「それ、請求する方が非常識だって!」
「小さい子が噛むのなんて、あるあるだよ」
子どもがいるさおりにそう言ってもらえて安堵しました。私の感覚は間違っていなかった…。張り詰めていた気持ちがゆるゆるとほどけていく、そう感じました。相談してよかった。心からそう思いました。
そして、さおりが唐突に言ったのです。
「謝罪に持ってったお菓子って何?」
「ローズデパートのトレビアンラスクだよ」
私が答えると
「濃厚チョコの方じゃなかったんでしょ!」
とさおり。するとあっこも
「それだ!チョコの濃度は誠意の濃度、ラスクの厚さは反省指数!ってウチのばーちゃんが言ってたもん!」
大真面目な顔でそう言うあっこに、私たちは大笑いしました。ふたりのジョークにエールを感じるとともに、自分の感覚を信じて「慰謝料請求については断る」と固く決意できた瞬間でした。
あとがき:気持ちを共有できる人がいる幸せ
どんなに苦しい状況でも、寄り添ってくれる人がいるだけで、人はもう一度立ち上がれるのだと思います。親友からのエールを受けて、ゆかりさんの心は前を向くことができました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: 光永絵里
(配信元: ママリ)

