筆者の体験談です。バスで出会った見知らぬ人たちの“譲り合い”の連鎖。
1歳9か月の娘の「どじょ」のひと声が、周りの人々の心をほぐしました。
やさしさはうつる──そんな世界であってほしいと思えた出来事です。
たまたま乗ったバスで
その日は少し歩き疲れて、珍しくバスに乗ることにしました。抱っこを卒業しはじめた1歳9か月の娘は、よちよち歩きが楽しくて仕方がない時期。空いていた座席に並んで座り、窓の外を指さしては「ブーブー!」「あっち!」とご機嫌でした。
次の停留所に差しかかると、ゆっくりとおばあちゃんが乗ってきて目の前に。すると娘は突然立ち上がり、自分の座席をぽんぽんと叩いてこういいました。
「どじょ!」
まだ舌足らずなその言葉に、思わず車内が少し和んだことを覚えています。
おばあちゃんの笑顔と、中学生の行動
おばあちゃんは驚いたように笑いながら、「いやいや、いいのよ。座ってなさいね」と優しく声をかけてくれました。けれど娘は譲る気満々の様子。私は「じゃあ、私の方に……」と腰を浮かせたその時、斜め前の席にいた中学生くらいの女の子が、すっと立ち上がって言いました。
「ここにどうぞ!」
おばあちゃんは「ありがとうねぇ」と嬉しそうに座り、娘は満足げにその様子を見上げていました。女の子は娘に「めちゃくちゃかわいいね」と声をかけてくれて、娘は照れたようににっこり笑顔を返しました。

