「梅毒」を発症すると「顔」にどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

「梅毒」を発症すると「顔」にどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

梅毒は性器の病気というイメージがありますが、実は顔にもさまざまな症状が現れることがあります。ニキビや皮膚トラブルと見分けがつきにくく、放っておくと重い症状につながるおそれがあります。

この記事では、梅毒に感染したときに顔に起こりうる症状や治療法、感染を防ぐためのポイントを解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

梅毒で顔で現れる主な症状

梅毒で顔で現れる主な症状

初期の梅毒では顔にどのような症状が出ますか?

梅毒は梅毒トレポネーマによる細菌性の性感染症です。感染すると主に性器に病変がみられますが、次いで口唇や口角など顔にも症状が現れます。

感染からおよそ3週間後に現れる症状を初期梅毒と呼びます。初期梅毒で顔にみられる症状は、口唇や口角、口腔内や目などの感染が起きた部位に発生するしこりや潰瘍です。しこりは初期硬結(しょきこうけつ)と呼ばれます。数ミリから指先大の大きさで、軟骨のように硬く暗赤色を呈します。数日経過するとしこりの中央部がただれて硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれる潰瘍になります。

初期硬結と硬性下疳はいずれも痛みがほとんどない点が特徴で、放置していても数週間で自然に消失します。

参照:
『梅毒(詳細版)』(国立健康危機管理研究機構)
『口腔咽頭梅毒 ー実地臨床における診断と治療のポイントー』(耳鼻咽喉科展望)

梅毒が進行すると顔がどうなるのかを教えてください

梅毒は進行段階によって症状が変化します。初期の段階では小さなしこりや潰瘍がみられる程度ですが、治療せずに放置すると重い症状が現れるおそれがあります。
梅毒によって顔に現れる可能性のある症状と病期は以下のとおりです。

病期 感染からの期間 顔に現れる主な症状

(潜伏期)

初期梅毒 約3週間後 初期硬結
硬性下疳

(潜伏期)

第2期梅毒 約4〜10週間後 梅毒性バラ疹
丘疹性梅毒疹
扁平コンジローマ
脱毛
粘膜疹など

(潜伏期)

第3期梅毒 1年以上経過 ゴム腫
潰瘍
瘢痕など

初期梅毒を治療せずに放置すると新たな症状が現れます。この段階を第2期梅毒といいます。第2期梅毒では、皮膚や粘膜、臓器などにさまざまな病変が出現します。

なかでも特徴的なのは梅毒性バラ疹です。梅毒性バラ疹は痛みや痒みをほとんど伴わない淡い赤い色のザラザラした発疹で、小さなバラの花に似ていることから名付けられました。顔だけでなく、手のひらや足の裏、体幹など全身に出る可能性があります。

発疹などの症状は初期硬結や硬性下疳と同様に、数週間以内に自然に軽快します。また、一度消えた症状が再び現れる場合もあります。

さらに感染が進行して第3期梅毒になると、皮膚や筋肉、骨などにゴム腫と呼ばれるしこりが出現することがあります。ゴム腫は皮膚や骨など周囲の組織を破壊し、潰瘍を形成します。ゴム腫が顔に生じた場合、重症例では、鼻の骨や軟骨が破壊されて鞍鼻(あんび)と呼ばれる変形をきたすことがあります。

参照:
『梅毒に関するQ&A』(厚生労働省)
『梅毒診療ガイド(第1版)』(一般社団法人日本性感染症学会)
『梅毒診療ガイド(第2版)』(一般社団法人日本性感染症学会)

顔に発疹などができても症状が消えたら問題はありませんか?

発疹などの症状が消えても、梅毒は自然に治りません。梅毒は症状が現れたり消えたりを繰り返すのが特徴です。症状が一時的に消失しても、体内では梅毒トレポネーマが活動を続けており、血液によって全身へ広がっていきます。

また、梅毒には潜伏期と呼ばれる症状の出ない期間があります。この間も体内では感染が進んでおり、感染して1年以内はほかの方にうつる可能性があります。

参照:『梅毒診療ガイド(第1版)』(一般社団法人日本性感染症学会)

顔に梅毒の症状が現れたときの対処法

顔に梅毒の症状が現れたときの対処法

顔に梅毒の症状が現れたらどうすればよいですか?

梅毒は偽装の達人とも呼ばれており、ほかの病気と見分けることは難しいため、早めに医療機関を受診しましょう。

例えば、口唇や口角にできる初期硬結は、見た目が口内炎や単純ヘルペスウイルス感染症とも似ており、自己判断では区別がつきにくい場合があります。また、第2期梅毒でみられる発疹もアレルギー性皮膚炎や、麻疹、風疹などのウイルス性皮膚炎などと間違われることもあります。

顔にしこりや発疹などの異常がみられたときは、皮膚科や産婦人科、感染症内科を受診するとよいでしょう。

参照:『梅毒診療ガイド(第1版)』(一般社団法人日本性感染症学会)

病院での梅毒の検査方法と診断基準を教えてください

梅毒の診断は、医師による診察と血液検査によって行われます。血液検査では、体内にできる抗体の有無を調べます。抗体は、細菌やウイルスに抵抗して身体を守る働きをするタンパク質の一種です。

梅毒の診断では、下記の2種類の抗体検査を組み合わせて行います。

非トレポネーマ脂質抗体(RPR/STS)

トレポネーマ抗体(TP)

まず、定性検査で抗体の有無を調べます。非トレポネーマ脂質抗原とトレポネーマ抗体のどちらかが陽性の場合は、抗体の量を詳しく調べる定量検査を追加で行います。

感染から1ヶ月以内ではいずれの検査でも陰性になる可能性があります。疑わしい症状や性行動歴がある場合には、数週間後に再検査し、診断を確定します。

参照:
『梅毒診療ガイド(第1版)』(一般社団法人日本性感染症学会)
『梅毒診療ガイド(第2版)』(一般社団法人日本性感染症学会)

梅毒は病院でどのように治療しますか?

梅毒の治療には主にペニシリン系の抗生物質が用いられます。日本では、アモキシシリンが一般的に使用されます。症状や感染時期によってはベンジルペニシリンベンザチンを用いる場合もあります。
ペニシリンアレルギーがある患者さんには、テトラサイクリン系やマクロライド系抗菌薬が代替として処方されます。

梅毒は、早期の適切な治療により完治が可能な病気です。治療中は定期的に血液検査を行い、治療の効果を確認します。症状が改善しても服薬や通院は途中で辞めず、医師が治癒と判断するまで治療を継続しましょう。
また、再感染を防ぐため、パートナーとの同時治療が必要です。

参照:
『梅毒診療ガイド(第1版)』(一般社団法人日本性感染症学会)
『梅毒診療ガイド(第2版)』(一般社団法人日本性感染症学会)

顔に生じた梅毒の発疹を治療する方法を教えてください

初期梅毒や第2期梅毒で顔に生じる発疹は、ほとんどの場合、治療をしなくても通常は数週間で自然に消えます。しかし、症状が消えても体内には梅毒トレポネーマが残っています。治療せずに放置すると鼻が落ちるような重篤な症状を引き起こすおそれがあります。

梅毒による顔の発疹は、自己判断で市販の軟膏を塗っても症状が改善しません。梅毒は、抗菌薬の適切な投与によってのみ治癒します。顔に発疹が現れたときは、まず医療機関に相談しましょう。

参照:『梅毒(詳細版)』(国立健康危機管理研究機構)

配信元: Medical DOC

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