●控訴審の証人尋問に元上司が出廷した
2025年5月の控訴審の証人尋問では、元上司が出廷。天皇発言については「ニュースを話題にしたに過ぎず、感想として友好国の大統領がプラスにならない発言をしたから」であり、決して強い口調などで話していないと証言した。
また、ハラスメント申し立てを知ったときには「かなり突っ込んだ発言ができていたと思っていたので、ショックを受けた。これまで一度も、周囲からハラスメント認定をされたことはない」と延べ、調査結果についても「自分の認識と違い残念と感じた」と話していた。
●男性「憤りというよりも絶望を感じた」
控訴審の判決を受けて、原告男性は次のように悔しさをにじませた
「私と私の家族にとって非常に重く、受け止めるのが苦しい結果となった。あえて5年間無職のまま、モルガン・スタンレーを変えようと戦ってきたのに、なぜこのような判決となったのか。
判決文には、私が署名をしていないにも関わらず、会社のポリシーによって被害事実を話さないという義務があったのにハラスメント調査の担当者や米国本社CEOなどにメールを送ったのは、命令違反で解雇は有効とある。また被害者が被害事実を告げることをルール違反としているが、これでは被害体験を家族にも誰にも話せなくなってしまう。
一審で負けたときは非常に失望したものの、二審を期待していた。少なくとも守秘義務についての判断には修正が入ると思ったし、人種的ハラスメントは有効な法律がないから変わらないかもしれないけれど、きちんと判断してほしいと思い高裁に臨んだ。
今感じているものは憤りというよりも絶望と言ったほうが、私にとっては正しい表現だ」

