韓国人元外資系証券マンの解雇、控訴審でも「有効」 人種的ハラスメント主張も認められず…東京高裁

韓国人元外資系証券マンの解雇、控訴審でも「有効」 人種的ハラスメント主張も認められず…東京高裁

●控訴審判決のポイント

控訴審判決は次のような内容だ

・会社が提示した秘密保持契約書については署名をしなくとも、調査チームにメールで条件に合意する旨を送信すれば足りると会社側が伝えたところ、それにしたがっている。よって秘密時事契約書の合意は成立する。

・守秘義務は調査終了後にも及ぶと理解するのが自然かつ合理的で、時間的範囲が、調査期間中のみならず調査終了後にも及ぶと控訴人に表示されていたことは明らか。

・調査内容については担当者を除き、社内外の一切誰にも話してはいけないと記載されている。話す必要があればまず調査担当者に相談する旨も記載されている。ただし控訴人が弁護士に相談することは禁じていないから、正当な権利行使を制約する意図はない。

・調査チームの調査の公平性や中立性に疑義を抱いていても、それが秘密保持契約書の合意に違反していい理由にはならない。

・上司の一連の発言は、控訴人に不快感と精神的苦痛を与える行為ではあるものの、8年間に5回という頻度や韓国大統領や大法院への批判であり、韓国や韓国人一般や控訴人に対してのものではない。またうち7件は平穏な口調だったことから、就業する上で看過できない程度の支障を生じさせるものではない。よってハラスメントに該当しないし、人種的ハラスメントにより控訴人の就業環境が害された事実があるとはいえない。

●原告代理人「不当判決だ」

判決後の記者会見で、原告代理人をつとめる川口智也弁護士は「地裁判決の問題点を踏襲しただけではなく、人種的ハラスメントを認定していない点も不当判決だ」として、最高裁で争う意向を示した。

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