TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。第61回となる今回は、「若者を食事に誘うこと」について語ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。
“謎の文脈”で仕事の評価に繋がっていたあの頃
忘年会や新年会の約束、そろそろ入り始めている頃合いでしょうか?私は十勝ワインバイザーという北海道十勝ワインの資格を持っているくらいワインを愛しており、応援するファイターズ戦をエスコンフィールドに観に行けばビールの売り子さんから4杯は買っちゃうくらいのお酒好き。賑やかな酒席や初対面の方も含む会食だって楽しめるタイプです。
でも、「お酒の席大好き!」って純粋に言えるようになったのって、ようやく“自分のペースで楽しめる大人”になったからだよなあとつくづく感じるのです。
コロナ前後で世の中ががらりと変わったのは皆さん実感されているとは思いますが、10年、20年前はまだまだアルハラという言葉もなかったし、お酒の席に頻繁に顔をだすこと=付き合いがよいこと、とみなされていました。
付き合いが良い=ノリが良い=話がわかる、的な謎の文脈で、仕事の評価にも繋がっていた現実があったことは否定できません。これはどんな業界であっても「ニッポンの会社員」であれば避けて通れない空気感だったことでしょう。いわゆる飲みニケーション。
20代のころは「会食」が得意ではなかった
20代、東京キー局のアナウンサーだった若かりし私は、とにかく仕事後もしくは休みの日にまで駆り出される「会食」が得意だったかと言うと、正直そうでもなかったかも。20代なんてそもそもお酒の味を覚え始めたばかり。なにを飲んだらよいかもわからず、美味しいお食事をご馳走になっても、翌日の仕事の入り時間が気になって気もそぞろ、なんてこともあったなあ。
高級なイタリアンもよいけど、すき家の牛丼をお持ち帰りして家の床でとにかく伸びていたい、なんて感じたときもあった……。今思えば「もったいない!! あんなお店もう行けないんだから、たくさんご馳走していただけばよかったものを! しっかりしろ!」とタイムスリップして、当時の自分を叩き起こしたいような気持ちにもなりますが。

