
「FIRE」とは、若いうちから投資や貯蓄を行い、不労収入で生活することを目指す生き方だ。経済的な不安や社会に縛られずに生きたいと考える人が増え、FIREを目標にする人も多い。今回は、そんなFIREについて描く漫画家、ホンダアオイさん(@hondagobo)の漫画『1億円を貯めてFIREを目指した男の人生』を紹介するとともに、作者に話を聞いた。
■年収400万円増加?FIREを目指した男の行く末は



21歳でFIREを志した主人公・有川ヨシオ。45歳までに1億円を貯め、早期退職して投資による不労収入だけで生きていくことを夢見ていた。一般的な株式投資の年利4%で計算すると、1億円あれば年間400万円を増やすことができる。
ヨシオは初任給から株を始め、安定した貯蓄ができるまで徹底的に節約した。外食は月2回、コンビニ禁止、水筒持参、サブスク禁止。給料の7割を貯蓄に回し、会社の家賃補助を利用して月の支出を6万2000円に抑えた。余ったお金はすべて投資に回す生活を送った。
その結果、23歳で貯蓄額は150万円に、24歳で300万円に到達した。しかし、同期の桐山トオルは「若いうちにお金を使った方がいい!」と、旅行やライブ、合コンを満喫する。貯蓄にのめり込むヨシオと人生を楽しむ桐山。真逆の生き方を選んだ2人の将来がどうなるのかも、この作品の見どころだ。
■「FIREすれば絶対幸せ」…本当にそうだろうか?
ホンダアオイさんは、30代という体力のあるうちに会社を辞めて自分のやりたいこと(漫画を描くことなど)をしたかったため、FIREを目指したと語る。
本作はフィクションだが、主人公の若いころの話は、作者自身の経験が多く含まれているという。ホンダアオイさんは、「FIREは自由で最高の生き方だと言われることがあるが、どんな人でも『FIREすれば最高』というわけではない」と話す。そして、「『FIREすれば絶対幸せになれるはずだ』という考えに対して、1度立ち止まって考えてもらうきっかけになればいい」という思いを込めてこの漫画を描いたという。
FIREのメリットについて、ホンダアオイさんは「お金の心配をせずに、すべての時間を自分のやりたいことに費やせること」と「嫌いな上司と話さなくてよいなど、人間関係のストレスが少ないこと」の2点を挙げた。
一方、デメリットについては3点を挙げている。「やりたいことがないと暇を持て余すこと」「人から求められる機会が極端に減ること」「平日に会える友人が少ないこと」だ。特に、「人から求められる機会」については、自分の存在意義を認識するうえで重要だと、FIREしてから改めて感じたそうだ。
今後の展望についてホンダアオイさんは、投資益で収入を得つつも、漫画やイラストの制作を続け、多くの人と仕事をして充実した人生を送りたいと語る。経済的な余裕があれば本当に人は幸せなのか?そんな問いを投げかけるこの漫画は、一読の価値がある。
取材協力:ホンダアオイ(@hondagobo)
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