腰パンの流行は、10代の社会への反骨精神だった
前回腰パンが流行した1990年代後半から2000年代初期を思い返してみると、「キレる17歳」という言葉が話題となっていた当時、「援交(援助交際)」や「おやじ狩り」といった、若者の犯罪の多発が深刻な社会問題化していました。
音楽カルチャーでいえば、若者の抱える不安や恐れ、孤独を代弁した浜崎あゆみが音楽界を席巻していた時代ですね。10代の葛藤が目に見えて表現されていた時代であり、その反骨精神がファッションにも反映されていたのではないかと推察します。若者が主張する時代は、20年サイクルでやってくる
思えば、この反骨精神は時代を経て繰り返されているのではないでしょうか。90〜00年代は腰パンという形で、それより前の80年代は暴走族の流行によって学生服は短ラン・ボンタンスタイルが流行しました。さらに遡った60年代は服装での主義主張というのは目立ったものがありませんが、学生運動が非常に加熱していた時代ですよね。このように今を生きる社会に対して、若者の主義主張が強くなる時代は20年サイクルでやってくる傾向にあります。
それに伴い、意識的か無意識的かは定かではありませんが、ファッションによる主義主張も強くなり、時代に反発するかのごとく着崩すスタイルが横行します。2025年の現在、若者の間でおよそ20年ぶりに腰パンが流行しているというのは、Z世代の目には見えない社会に対する意見や主義主張の証なのではないかと感じます。

