「海外の旅行中にお腹を壊すと聞いたことがあるけれど、国内旅行でもあるの?」と思った方はいらっしゃいませんか。実は国内でも、お腹を壊すことは十分ありえます。
そこで今回は、国内旅行中にお腹を壊す原因や対処法、医療機関への受診が必要なケースを詳しく解説します。
せっかくの楽しい旅行がお腹の調子で台無しに……なんてことが起こらないように、ぜひ最後まで確認していただければ幸いです。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
国内旅行でお腹を壊す原因
お腹を壊す原因として、以下のことが考えられます。
食べすぎや飲みすぎ
感染症
食中毒
過敏性腸症候群や慢性膵炎などの病気
それぞれ詳しく解説します。
食べすぎや飲みすぎ
急なお腹の不調の原因として多いのが、食べすぎや飲みすぎによるものです。食べすぎや飲みすぎは消化不良を引き起こし、下痢や腹痛などの症状が現れることがあります。そして場合によっては、吐き気や便秘を伴うこともあります。
特に、脂っこいものや辛いもの、乳製品などは個人差がありますが下痢の原因となる可能性が高いです。また、アルコールも腸に刺激を与え、下痢が起こることがあります。通常、こうしたお腹の不調は1〜2日で治ることが多いようです。
感染症
O-157やノロウイルスなどの細菌やウイルスが感染症を引き起こし、お腹の不調が起こることもあります。症状として下痢や腹痛、発熱などがみられます。これらの感染症は汚染された食べものや、感染者の触れた箇所を触り感染することが多いです。そのため、旅行中でもこまめな手洗いや消毒が大切となります。病原体によって異なりますが、感染してから通常1〜3日程度で下痢などの症状が現れることが多いようです。症状が軽い場合は数日で治ることがほとんどですが、細菌やウイルスの種類によっては血便や吐き気などの別の症状が現れる場合があるので注意が必要です。
食中毒
食品に含まれる細菌やウイルス、寄生虫などが原因で食中毒となり、お腹の不調が起こることも考えられます。症状は、下痢や腹痛など、感染症と似ていることが多いです。食中毒で症状が発生するまでの期間は、原因となる菌や食べた量などによって異なります。短いものでは食べた直後、長いものでは1週間以上経ってから、症状が現れることもあります。食中毒も感染症と同様に、軽いものであれば数日で治ることが多いようです。様子をみて、症状が悪化している場合や別の症状が現れる場合は注意が必要です。食中毒の予防としてできることは、食べる前によく手を洗うことが大切となります。また、焼肉で十分に肉が焼けていなかった場合などに引き起こすこともあります。そのため、中まできちんと火が通っているか確認してから、食べるようにしましょう。さらに、生ものや衛生状態が心配なものは避けて、よく加熱されたものを食べるようにすることがおすすめです。
過敏性腸症候群や慢性膵炎などの病気
過敏性腸症候群は、検査で異常がみつからないのにも関わらず下痢が続く病気で、慢性の下痢の大半を占めているものです。通勤や通学中の電車の中、人と会う前などに突然腹痛が起こり、トイレに行きたくなる症状が現れることが多いです。症状が軽い方を含めると、人口の1割以上がかかっているともいわれています。原因はまだわかっていませんが、腸が過敏になり、食事や精神的ストレスによって腸のぜん動運動が過剰に活発になると考えられています。旅行前にこのような症状がある方は、医療機関に相談し、旅行中のストレスを減らす工夫をすることがおすすめです。一方慢性膵炎は、膵臓の正常な細胞が壊れて、膵臓が繊維組織に置き換わる病気です。慢性膵炎では、食べ物に含まれる脂肪分がうまく消化・吸収されないため、脂っぽい下痢になることが特徴となります。原因は、男性では飲酒、女性だと原因不明の突発性が多くみられます。初期であれば、腹痛が主な症状です。さらに進行すると、消化不良を伴う下痢や体重減少などがみられます。数日経っても症状が治らずに悪化している場合、過敏性腸症候群や慢性膵炎以外にも、クローン病や潰瘍性大腸炎などの別の病気の可能性も考えられます。そのため、旅行中に重症化することのないよう、事前に医療機関へ相談しておきましょう。
国内旅行中にお腹を壊して下痢になったときの対処法
旅行中、お腹を壊して下痢になり、焦ってしまうこともあります。そこで本章では、旅行中でもすぐにできる対処法をいくつかご紹介します。
水分補給をする
激しい下痢のときには大量の水分が奪われてしまい、脱水症状を引き起こす危険があります。そのため、うすめのお茶や常温のミネラルウォーター、スポーツドリンクなどからの水分摂取が大切です。このとき、冷たいものではなく、温かいものを摂取するようにしましょう。特に、経口補水液はナトリウムやカリウムなどの電解質を含み効率よく水分補給ができるため、ドラッグストアやコンビニで購入しておくと焦らず対応できます。お茶を飲む場合には、カフェインを含む緑茶や紅茶よりも麦茶やほうじ茶などのほうが胃腸への負担が少なく、身体を温める効果も期待できます。水分補給をするときは、一度に大量に飲んでしまうと、腸が刺激され症状が悪化することもあるので少しずつこまめに摂取しましょう。なお、コーヒーやアルコールなどは腸を刺激するため、なるべく控えることがおすすめです。
消化のよい食べ物を食べる
おかゆや野菜スープ、うどんなど胃腸への負担が少ないものを取り入れて、胃腸を休ませることがおすすめです。食べるときは、煮る・蒸す・茹でるなど、油が少なくやわらかい仕上がりのものを選びましょう。一方で、脂っこい唐揚げや天ぷら、ケーキなどは腸への刺激が激しく消化が悪いためなるべく控えることが大切です。また、食物繊維の多い食品は腸を刺激して下痢を悪化させるので、注意が必要です。さらに、豆類や芋類などは、腸内で発酵してガスを発生させます。発生したガスは腸を刺激してしまうので、なるべく控えましょう。
安静にする
下痢をしていると、体力を消耗しやすくなります。そのため、お腹を温めて、身体を冷やさないように安静にしましょう。夏場であれば室内でも、冷房の冷たい風が身体に直接当たらないようにすることが大切です。ひざかけやカーディガンを持ち歩くように心がけましょう。さらに、貼るカイロを下腹部に当てると、腸の動きが穏やかになり痛みを和らげる効果が期待できます。安静にできない場合であれば、できるだけ座って、身体を休めるだけでも効果的です。
下痢を我慢しない
下痢は我慢せずに、安静にして様子をみることが大切です。下痢は身体のなかにある細菌やウイルスを排出するための防御反応です。そのため、無理に止めることで症状が長期化してしまう可能性があります。

