「10年以上働いた同僚が突然消えた」非正規公務員74万人の不安…12月7日に「労働相談ホットライン」実施

「10年以上働いた同僚が突然消えた」非正規公務員74万人の不安…12月7日に「労働相談ホットライン」実施

自治体や国の機関で働く「非正規公務員」を対象とした無料の電話相談が12月7日、全国一斉で実施される。雇用不安や待遇改善などの相談を受け付ける。主催は全労連。

これに先立ち、全労連は11月21日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、非正規で働く公務員が置かれている厳しい実態を説明し、ホットラインへの参加を呼びかけた。

●昨年の相談は雇用への不安やハラスメント問題が多数

全労連によると、非正規公務員は2023年時点で全国に約74万人。20年前と比べて約29万人増えている。一方で正規職員は減少が続き、自治体の現場は「非正規なしでは回らない」状態となっている。

しかし、待遇は依然として厳しい。短期任用を理由に低賃金となりやすく、賞与や手当も制限される。雇い止めの恐怖のため「声をあげること自体が危険」とされる構造的な問題も指摘されている。

全労連の黒澤幸一事務局長は会見で「非正規公務員は、仕事は正規公務員と変わらないのに、雇用も賃金も不安定。『来年も働けるのか』という恐怖が常につきまとっている」と訴えた。

昨年初めて実施されたホットラインには、全国から138件の相談が寄せられた。

内容は、雇用への不安やセクハラ・パワハラ、正規公務員との待遇格差への憤りなどが中心で、雇い止めを恐れて職場では声を上げられない実態も明らかになった。

●「ある日突然、10年以上働いた同僚が消える」

この日の会見には、京都府内の自治体で非正規公務員として働く女性2人も参加した。50代の女性はこう語った。

「専門職として10年以上働いていた人がある日、契約が更新されず職場を去りました。なぜ更新されなかったか、理由はわかりませんでした。それをみて、とても怖くなりました。私たちの業務は高度化し、正規職員に仕事を教えるほど熟練する一方で、待遇は低いまま。『都合の良い労働力』として扱われ、仕事への意欲が失われています」

もう1人の女性も「3年ごとに履歴書や小論文を出し、面談を受ける。そのたびに不採用の恐怖があり、仕事に集中できなくなる」と語った。

2人は現在、京都府で雇い止め中止を求める署名活動にも取り組んでいるという。

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。