
ニューヨークで見つけた“自分の原点”
写真に魅せられ、ニューヨークで鍛えられた感性
—— 写真の道を志したきっかけは?
中学生のころ、自然の風景を撮るのが好きで、最初の作品は風景写真ばかりでした。ニューヨークの大学で写真を学び、卒業後も帰国せずに活動していました。
あの街は本当に刺激的で、アーティストのCDジャケット撮影やNYファッションウィーク、イベントなど、毎日が新しい出会いの連続でした。
学生時代に撮影したエリー湖の風景。自然へのまなざしがすべての原点
廃墟や工場など、無機質な構造物にも美を見出していた頃
2009年頃のNYファッションウィークの現場
イベントでのファッションスナップの仕事
ブルックリンで見つけた“光で描く”新境地
—— 表現が変化したきっかけは?
ブルックリンで出会った一人のアーティストです。彼が“ライトペインティング”という技法を使っていて、初めて見たとき衝撃を受けました。
光を筆のように使って描く世界、その瞬間に、自分の写真人生が大きく動いたんです。そこからは、すべての作品をライトペインティングで表現するようになりました。
初期のライトペインティング
「察する力」が写真を変えた、下積み時代
迷いを経て選び直した、カメラマンとしての人生
—— 帰国後はすぐにカメラの仕事を?
リーマンショックの影響もあり帰国することになったんですが、親の希望もあり「アートは趣味、仕事は仕事」と割り切り、一般企業への就職活動をしていました。
でも、自己分析を重ねるうちに「やりたいことをやれて満足だったと思える人生を送りたい」と強く思い直して、親を説得し最終的にカメラの道を選びました。
—— 写真スタジオ時代の経験は今にどう生きていますか?
物撮りをメインに行うスタジオに入社して、最初の仕事はハンガーを出したりコーヒーを出したり。
けれどそこで学んだのは、「気づく力」の大切さです。
クライアントが上着を脱ぐ瞬間にハンガーを差し出せるか、コーヒーが減っていたらおかわりを勧められるか。
その“察する力”が現場の空気をつくり、最終的な写真の仕上がりにまで影響することを実感しました。
—— テクニックよりもコミュニケーションが大事?
相手の頭の中にあるイメージを汲み取って形にするという意味では、コミュニケーションが重要でそれがカメラマンの本質だと思います。
アートとしての作品と、仕事としての写真はまったく別物。でも、どちらの経験も互いを豊かにしてくれる。
休日には友人のヘアメイクやスタイリストと作品撮りを続けていました。その積み重ねが、今の自分のアート活動の礎になっています。
友人をモデルにした作品撮り
ヘアメイク・スタイリストとの作品撮り
