義父の介護をしていたある日、思いもよらない光景を目にしました。その瞬間の衝撃と、そこから学んだ「寄り添う介護」の大切さを、今でも鮮明に覚えています。
冷蔵庫の中にあったもの
夕食の準備をしようと冷蔵庫を開けたとき、私は目を疑いました。そこには、義父の靴がきれいに並べて入っていたのです。さらに、冷凍室には靴下まで。最初は誰かのいたずらかと思いましたが、すぐに義父の仕業だと気付きました。
その日、義父は朝から「靴が暑い」と何度も言っていました。どうやら、認知症が進行していた義父は「靴は冷やしておくもの」と思い込んでしまったようです。
怒らず、受け止めるという選択
まさか冷蔵庫に入れるとは夢にも思わず、家族全員がぼうぜん。食品とは分けて入っていたため衛生面の問題はありませんでしたが、笑うに笑えない出来事でした。
この出来事をきっかけに、私は義父の行動を「間違い」と決めつけず、まず受け止めることを意識するようになりました。義父にとっては真剣な行動であり、怒ったり否定したりすると不安や混乱を招くだけだと気付いたのです。

