「売春防止法は不十分」12歳タイ人少女の事件で女性支援団体が集会、「買春規制」うったえる

「売春防止法は不十分」12歳タイ人少女の事件で女性支援団体が集会、「買春規制」うったえる

東京都文京区のマッサージ店で、12歳のタイ人少女が違法に働かせられていた事件を受けて、一般社団法人「Colabo(コラボ)」は11月21日、性売買被害の専門家らを招いた院内集会を開いた。野党議員14人も参加した。

この事件をめぐっては、少女が性的なサービスを約60人の男性客にさせられていたとされる。SNS上では、男性客に対する批判が集中した。

現行法では、売春を勧誘する行為などについては罰則があるが、買春する側に対する罰則は「児童買春」に限られている。

高市早苗首相も11月11日、衆院予算委員会で「買春する側」に対する法規制の検討を指示したこともあり、「買春」に対する規制の導入を求める声が広がっている。

この日の集会では、タイ人少女の人身売買事件をきっかけに、日本においても若い女性が性売買をさせられている実態や、どのような法的枠組みと支援が必要かなどが話し合われた。

●「売春防止法は女性の人権を守っていない」

少女の人身売買問題にくわしい大東文化大特任教授の斎藤百合子さん(コラボ理事)が、日本における人身売買の歴史を説明した。

斎藤さんは、1970年代から80年代にかけて、アジア各国で少女や女性が売春させられていた問題は、日本人男性が買春ツアーをおこなっていたことも背景にあると指摘する。

「各国で日本人男性による買春が批判されると、日本に女性たちを連れてくるようになった」

日本人の若い女性たちも性売買を強要されている実態から、人身取引禁止法を包括的に適用すべきだとうったえた。

また、さまざまな女性の問題解決に取り組んできた角田由紀子弁護士(コラボ理事)も登壇。現在の売春防止法について「女性の人権を守るようにつくられていない」と断じた。

そのうえで、女性が売春に至る根本的な原因(生活の苦しさなど)に対処していないことを問題視した。

●「性売買している少女への支援を」

新宿歌舞伎町などで、性売買をおこなっている少女の自立支援をおこなっているコラボの代表理事、仁藤夢乃さんは「歌舞伎町だけでも毎晩、買春客が100人以上確認できる」と実態を明らかにした。

また、近年では、円安や日本国内に買春側の罰則がないことがSNSで拡散され、外国人による買春も増えているという。

仁藤さんは、少女や若い女性たちの性売買の背景には、家庭での虐待や貧困、障害などさまざまな原因があると分析。

「12歳の少女が性売買を開始するケースもあり、背後には性売買の業者らによるグルーミングがある」と述べ、買春した側の罰則と合わせて売春した側への支援の必要性もうったえた。

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。